救いを求めて今いずこ─占いジプシーだった女性のチャート
- 鹿村文助
- 9月13日
- 読了時間: 7分

一昨年に私まで鑑定依頼を出し
以降は定期的にチャットフォーマットで連絡を入れて下さる常連筋の女性が
このほど私からの勧めにご応諾下さり
遂にご本人を記事の題材にさせていただくこととなった



*****
ご本人の最初の依頼事項は「ラーシのラグナ修正」だった

今でこそ蠍座ラグナで正しいと断定できたが
ご結婚その他のエピソードを伺ってレクティファイしていくと
ラーシは射手座ラグナでも間違っていない印象が強く
事実その誤差の程度を洞察し切れなかった他のジョーティシャーからは
「貴女は射手座ラグナだ」と本当に言われ
それどころか全く理不尽にも鑑定料を払ったその鑑定士複数人から酷く叱責されたという

時運整合のための聴取で
「小学生時代に交通事故に遭ったが無事だった」ことや
その後に生家の家族との不仲による悪影響等の深刻な私情から
「高等学校を1年生で一旦退学してしまった」という来歴を伺い
ダシャーに対するハウスの位置関係を考慮して蠍座ラグナが正しいと見なした


ラーシを蠍座ラグナとした場合に
16歳前半当時のダシャーは「ラーフ-火星-ラーフ-水星-土星期」で
学業の実態を模写したD24ではラーフのディスポジターの水星に火星・土星が絡んで
水星が学問の表示体でありながらも5室8室支配で「途絶の表示体」として働き
ラーフは8室乙女座に住んで水星が7室( 10室の結果のハウス )に置かれている
火星・土星の配置上の関わり自体が「6室の表示体と8室の表示体の絡み」で水星を強く傷つけ
土星はラグナロードだが定座の強い火星と凶意を与え合ってD24が全体的に損なわれる


アスペクトバックして星座交換まで起こす強い土星は
水星とコンジャンクトした配置がダシャーで巡ってくると
学業とは無関係な目的から水星の与える「混迷感・苦悶」が発露し
ラグナ対7室の星座交換に傷ついた水星が凶兆だけをもたらした結果
ご本人は生家を飛び出し不意に一人暮らしを始めて高校を自主退学してしまった
7室支配でマラカにもなる太陽は「父親の表示体」であるため
12室も支配したラグナロードとの星座交換で土星と太陽が相互に傷つけ合い
見れば見るほど「父親との対立が原因の心労から学業が途絶する」と言える配置を作っている


年齢的には影響が現れにくいナヴァムシャだが
ラグナに住んだ火星が8室のラーフにアスペクトし
弱く絡んでいる配置をラグナの火星がアンタル・ダシャー開始時に励起し
こちらでも5室8室支配になった水星が6室で9室( ≒父親 )支配の金星とコンジャンクトして
「父親に苦悩させられて学校にも通えない」といった様相を描いている


蠍座の「24度34分」を正しいラグナの位置としたラーシに応じたD60は
やはり十二分に正しい配置の絡みを見せていて
火星が4室魚座から双子座と乙女座にアスペクトして間接的に水星と絡み
射手座ラグナで強く「父親」を表意する9室支配の太陽と水星はコンジャンクトする
ラーフのディスポジターが社会生活の7室10室を支配した水星で
4室を失う3室( ≒引越し )で定座の土星にもアスペクトされたまま12室に住む
「生家を飛び出し不意に一人暮らしを始めて高校を自主退学」したのは
明確にシャスティアムシャが作ったこれらの配置がもたらした結果だったと言える
それから


「小学生時代に交通事故に遭ったが無事だった」というとても客観的な経験は
やはりラーシのラグナを蠍座の24度ほどとした結果のD16の配置が饒舌であり
高揚したラーフはつまり金星がディスポジターとなって火星と絡み
火星はケートゥのディスポジターになったマラカ( 激しい傷病の表示体 )で
火星が住むハウスもマラカの2室になってディスポジターがまた金星になっている


「12室の表示体」のケートゥのディスポジターが極めて凶悪なマラカの火星になり
それもマラカの2室に住んで対向ハウスで太陽( 1室の表示体 )と相互アスペクトする
車両事故に巻き込まれても無事だったのは太陽が高揚しているからで
それも減衰の土星をバンガする太陽が火星に対してもヴィーパリータを起こし
2室8室軸で全てのドゥシュタナハウスが強烈な凶意の打ち消し合いを生じさせて
太陽と土星に向けてハンムサ・ヨーガの木星がアスペクトしてとても堅く調停を施す
以上の検証から
ラーシのラグナは蠍座の「24度34分」で正しいと言える結果となった
未だ続くカルマの道のり

現在ご本人様は土星期が「あと一息」と言えるところまで来ており
来春に「土星-ラーフ期」が始まると水星期に向け微弱ながらダシャーチッドラが始まる


あと一ヶ月足らずで終わる現行の「土星-火星-土星期」は言わずもがなの修羅場の最中で
アスペクトバックして強いはずの土星がケートゥのディスポジターとして働いてしまい
「キャリア」の4室の象意が育たないばかりか7室に住むラグナロードと相互アスペクトする

蠍座ラグナでマラカと化した大凶星の土星が本人の努力を否定するように悪意を発露し
そうした不遇に意思表示するかのような7室のラグナロードは6室( 失業 )も支配している


昨年の「土星-月期」の時点でこの依頼者様は婚約者と離婚調停を行っており
水瓶座ラグナになったナヴァムシャではヴァルゴッタマの土星が12室支配で7室に住み
土星の5室目に住んで絡む月は7室を失う6室支配で即ち「争い」( 裁判 )を意味し
7室支配の太陽が6室支配の月と11室でコンジャンクトすることで離別をもたらしたのである
現在の「土星-火星期」は機能的凶星の火星がラグナロードとラグナ対7室の相互アスペクトで
あらゆる場面で孤軍奮闘を強いられて「取るものも取りあえず体当たりで挑みかかる」日々だ


婚約者との間に残された2人のお子様を引き受ける覚悟を決め
親権を全うすべく未経験だらけな社会人生活を死に物狂いで戦うことの困難さは
私自身も会社経営が崖っぷちに迫る最中であっても「直にお会いして傾聴しようか」と
本気で思い悩ませられるほど深い理不尽と絶望が付き纏っていた
本当に昨年から今夏にかけ
幾度となく「勤務先でハラスメントばかり受けて辛いです」とか
「新しい転職先の部署長がムチャクチャ横暴でもう辞職したいくらいです」等々
この私がご本人の苦痛極まる吐露を受け止めなかったら
いついきなり壊れてしまうだろうかと自社を倒産させたばかりの私の方が不安になっていた
気がつけば
「いつかこんな人生にも意味があったんだと思えますよ」と励まし合う仲になり
機械的にチャートを査読しマニュアル的な対応をしがちな自分を客観視できる機会になった

蠍座がラグナで正しいと思える副次的な理由は
双子座と蟹座の星座交換が8室対9室だからであり
とても双子座的な性格が出た人物の庇護下に置かれることも意味していたためだ

もちろんこの私である
素直に白状すると
当初はこのお方のラグナ検証にはかなり苦戦して判別がつけられず
久々に師へと泣きを入れて検証作業の介助を陳情したのだが
その結果がやはり摩訶不思議な因縁を思わせるご指摘をいただく次第となった
即ち
因みにこの方は蠍座ラグナですが、
アヤスケさんは5室支配の土星が3室蠍座に在住している為、
おそらく、こうした蠍座ラグナの方からの質問が多くなって来ると思います。
つまり、アヤスケさんの生徒です。
(原文ママ)
とメールでのやり取りで師が私に促して来た

「──なるほど・・・」と息を吞んだ一件となり
確かにそれまで複数人ほど私に依頼して下さった方々の数人に一人は蠍座ラグナだった

今回のこのご本人様のラーシのナクシャトラも
水星が住むのは蟹座だが私のラーシで水星が定座する「プナルヴァス」であり
月が住む「アールドラー」は私のナヴァムシャのラグナで木星が住んでいるナクシャトラだ

今回のラグナ特定の結果に応じて出力したD81は山羊座ラグナで
ラグナと9室が星座交換して水星が伏在するのは乙女座であり
これもまた私のD1・D3・D9・D150で特徴的な月やラグナロードの配置を暗示してくれている

ジョーティッシュを10年ほど続けて来て
これくらいの因縁を感じさせたパターンはやはり指折りものでかなり希少である
私が漠然ながらも確信したのは
「このお方の行く末を見守ることで私自身の能力もきっと顕在化できる」という得心だった
まだまだ道のりは長いが
もちろんこのやり取りは終わらない
占いは頭ではなく心で学ぶ技芸だったと
ハッキリ分からせてもらえた出会いだった
ありがとうございました
お陰様で心が鍛えられています
何かありましたらまた遠慮なくご相談下さい
以上
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