ダブルトランジットの改新─もうじき蠍座で定座する火星の影響を読む
- 鹿村文助
- 10月20日
- 読了時間: 6分

今日で10月20日となり
いよいよダブルトランジットが正しく発現し始めた
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これから約1年間で固定された「恒常的励起」になるのは蠍座と魚座で
更に来週の今月末頃からトランジットの火星が蠍座に入宮し定座する

これがまたと無い強烈なアドリブ運を触発する「ハプニングの座相」であり
蠍座が吉意のハウスになるラグナは( ダシャーが良ければ )相当に面白い展開になる
インド本国のジョーティシュにおいても定義されてある通り
「ダブルトランジットに対する火星のアスペクトは明確な経験と変化をもたらす」のである

3日前に再度のご依頼をお申し出下さった

ご本人のラーシはトランジットの木星がご本人の土星に重なり
高揚した木星がトランジットの土星の住む8室にアスペクトし
トランジットの土星は7室水瓶座に逆行することで7室8室がダブルトランジットになる

7室8室への同時の励起は「興味半分なままの人間関係に振り回される」ような状況を作り
その理由は4室の示す勉強熱心な良い性格が非現実な知識への関心を湧き起こすからだ
ご本人について述べた過去の記事でも触れたが
この男性は9室牡羊座でケートゥが木星とのコンジャンクションで吉星化し
ディスポジターの火星は4室の方で定座したルチャカ・ヨーガで
特にケートゥには12室の土星がアスペクトして5室と7室の支配星がケートゥに触れており
ケートゥはラージャ・ヨーガとなって「秘めた霊性」が次第に発露する表示体へと変容する
従って今現在のご本人は「非日常な知的好奇心」がどんどん強くなる途上を進んでいるようで
ダブルトランジットが厳正な発動状態になりかけた数日前に
この私へとまた鑑定依頼をご用命下さったという次第だった
( そこで私は「知り合った相手に違和感を感じたなら確実に縁を切るべきです」と助言した )


ご本人は来月に「水星-金星-水星期」にダシャーが移るが
ナヴァムシャでは水星がケートゥのディスポジターになったバドラ・ヨーガを組み
その水星と絡んだ3室の金星は「強い意思表示・独立」も現れる6室11室支配である
ご本人は現在も雇われ技師のまま働いているとのことだが
今年の年末までには独立してみたいとする立志の感情が強まるはずだ
( 3室は8室から8室目で「物事の終わり」も促すハウスで射手座ラグナの月は8室支配である )

それを踏まえてラーシのダブルトランジットを見直すと
4室に生じた励起は火星が9室も支配するヨーガ・カーラカで9室も励起されることになる
そして何より重要なのは
火星にコンジャンクトした太陽は10室の表示体でありつつラグナロードだからで
9室( 10室を失うので失業 )と同時に4室( キャリア・ステータス )が励起されたハウスにおいて
副次的に事業運を示す太陽もダブルトランジットされていることだ

そして今月末には蠍座で定座し始める火星がご本人のチャートの火星にリターンし
それがダブルトランジットとしては最も強いアドリブ運の発露につながるため
ラグナと4室と9室の象意がダシャーと同等に強く働く状況下の今は
「新しい出会いを求めて将来設計をこれから再考する」と言える時局に入ったことだろう
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続いて
少し前に投稿した記事の題材とさせていただいたこちらの女性も
同じくトランジットの火星が良い影響を促すように働くはずである

こちらの場合ラグナと5室が励起され
9室に入ったばかりの木星はご本人の木星にリターンする
私的な場面でとても快い「不思議な出会い」に恵まれそうな所見を作っている

「土星-火星期」がまだまだ終わらないダシャーにおいては仕事運が厳しいが
トランジットの木星が9室にリターンしてトランジットの火星はラグナに定座し
ラグナが非常に強くトランジットの励起を受けつつ5室も今これから励起され始める
ご本人を扱った記事ではその表題を「占いジプシーだった女性」としたが
機能的吉星の木星が高揚したまま9室8室の星座交換に働きかけているにもかかわらず
ダシャーが土星期だったためかご本人は本当に信頼できる相談相手に恵まれないでいた

今日から本格化した即席の時運は
悪影響の全く無い木星の最良な吉意で充足感や安堵感が得られやすく
ラグナと5室のダブルトランジットは「前向きな思案による自己判断」を促し
本来ならばそれまで続けた取り組みを辞めるといった成り行きも意味するが
このご本人のチャートでは急に心持ちが軽くなり俗に言う「フッ軽」状態に変化する
木星が高揚した9室は星座交換により月が定座したようになり
現在の木星のトランジットがかなりの精神的な開放感を生み出す最中である
次第に「私は別に間違っていない」と思える自己肯定の感情も戻って来て
ダシャーの与えてくる土星的な理不尽から1年間ほどは解放される見込みが出ている


現在のダシャーに対し
ナヴァムシャの要約版でもあるドレッカナでは
土星に火星が8室目のアスペクトを与えて絡みながら水星はラグナに住む
プラティアンタル・ダシャーがラグナに住んでその時運が来ると
その配置になった分割図が強く働くことになり
ご本人の場合はラグナと12室が星座交換したヴァルゴッタマで
土星はヴィーパリータを起こし火星は5室にアスペクトバックする吉相になり
ラグナに向け木星が9室目のアスペクトを与えてまたヴィーパリータを起こす
ダブルトランジットがとても心的な幸福感を与えるはずの今後は
「風が吹けば桶屋が儲かる」的な逆転的吉意を実感できる局面に入っていくはずだ
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それから
私自身はというと
ラーシの蠍座はなかなかに厳しい所見を作ってしまう


11室支配の月と7室がダブルトランジットされていたのは相当に嬉しい一方で
3室へのダブルトランジットは5室6室支配の逆行した土星が住んでやがて火星が定座する
私の鑑定士事業自体には問題が起こらずとも
3室は私生活のハウス( 2室から2室目でその本質 )でもあり
マラカの火星が定座後は何か不用意な言動を見せて失敗してしまう可能性が色濃く現れる
私はアートマ・カーラカが4室で逆行したマラカの火星であることから
心情的な乱高下を繰り返し気味の傾向が終生ずっと続くため
時に分かっていながらも間違った選択を採って人間関係を損なってしまいそうになる


ダシャー更新直後の8月末に挙げた見込み検証で触れたD8は
5室で定座の金星と高揚のラーフが「有頂天になり切って浮足立つ」と言える突然変異ぶりで
これからも私にイチイチ妙な出会いと変転を引き当ててくる不意打ちのタナボタ運を施す
しかしよく見ると
金星にはナヴァムシャ同様に土星がアスペクトしたり
火星が逆行位置から仮想アスペクトしたりと金星の傷つきも強い

危険なアクロバットを私は繰り返すらしい
覚悟して臨まない限り「突然の受益」が不要な災難に早変わりしてしまう座相であり
出来もしないことを安請け合いして逆立ち状態で前に進むという展開かも知れない
しかしこうしてジョーティッシュで自らの身構え方を考えておけるのだから
それ自体やはり立派なステータスである
驕らず腐らず
以降もご依頼には満額回答を目指す所存だ
以上





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