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執筆者の写真鹿村文助

ラーフ期が来ない人達-それぞれのカルマ-その1

更新日:5月9日





私にとってはラーフ期というのがあまりに壮絶な自分との対話だったために

ラーフ期が来ないダシャーに生まれた人を以前まで色々と特別扱いしていた



厳密にはラーシ・チャートでのラーフの配置とディスポジターに対するアスペクトが

その不安定な吉凶の働きを決めてしまうのであり

ケートゥの方が3室6室や11室に住んだりして凶星から全く触れられていなければ

それだけでも悪影響はかなり少ないとも言える

(この時にラーフやそのディスポジターが吉意のアスペクトだけ受けていれば理想的である)



そうしたこと自体を無視してダシャーだけを見るというのも軽薄な教科書的解釈でしかなく

当然ながらラーシ・チャートとナヴァムシャ・チャートの配置全体の対比が重要である






上記は性格的にかなり難のある女性のチャートだ

私の占断を受けた頃にちょうど婚活を始めたのだという



彼女の月はプナルヴァスでヴァルゴッタマとなる強い月だが同時に新月の配置である

そのため星位が悪い(山羊座や蠍座のような)ままディグバラとなった状態のように働く

よく見るとその月は彼女のアートマ・カーラカであり影響力の甚大さが思いやられる



なおかつラーシではラグナでグル・チャンダラ・ヨーガが起こり

木星はディグバラで最高潮に機能的凶意を撒き散らしている



そしてその木星がアスペクトする5室では土星が逆行して定座するというコンディション

ハッキリ言って「繊細で傷つきやすくそのくせ我が儘の多いヒステリー」といった性格である



しかし彼女の人生はそれでも木星期から始まっているのだから(本人には失礼ながら)面白い



つまり彼女は今生でとことん剛直に痛快に自分らしく振舞おうとする目的意識を秘めている

彼女のラーシは風の星座がとても強い配置のためリベラルな行動主義の傾向が顕著と言える



即ち自分にとって受け入れ難い価値観や言説ならその発話者の地位を顧みず物申す人である

早い話がSNSで自分の流儀等を威風堂々と発信していく今風の「おひとり様」タイプのようだ



そんな彼女が婚活を始めたのはやはりナヴァムシャの配置の良さが影響するからでもあり

ラーシでも目に見えて9室の強さに恵まれているために

精神性の内奥にはまだまだ優美な善良さが生きていることが分かる

(彼女のマハーダシャーは水星期に入ったばかりだがナヴァムシャの水星は7室に住んでいる)





ラグナにはラグナロードが見事に定座しマラヴィア・ヨーガが成立する

両隣を凶星に挟まれているのが玉に瑕だが

7室には5室支配の水星が住んでラージャ・ヨーガにもなっており良い恋愛運が期待できる



無責任な他人事として品評するならば今の彼女には「ドラマチックな出逢い」が待つと言える



ラグナロードでマハープルシャの金星と7室の水星が「1室6室対2室5室」のヨーガを組んで

恋愛を通じた自分らしさと喜びを味わいつつ自分本位な言動で争いや遺恨も残すことになる



ラーシとナヴァムシャがコインの裏表の如く相反した陰影となって奥深い人格を作っている

どちらかが正しいのではなくどちらも彼女を正しく映し出しているのである



一方で強く懸念すべきはヴァルゴッタマの月をラグナとした時の7室とその支配星の状況だ

7室支配の木星が8室で減衰してからディスポジターの土星と星座交換している



そして土星が住む魚座には本来のラグナから見た7室支配の火星が住んでいるため

土星がその火星を傷つける配置になり

関係を持つことになる異性が人格的に幅広く複雑難解なキャラクターの男性であるか

または単純に偶然出会った相手が蠍座的なタイプだったり

山羊座と魚座の性格が融和した独特な志向性のパートナーだったりするという傾向である



本来のラグナから分析すると

水の星座でラージャ・ヨーガになった水星のディスポジターが更に水の星座で11室に在る



何かの個人事業を営んでいる自主自営的な男性像が浮かぶ

「有能で賢いが鬱屈した厭世観を持ち良くも悪くも老練な思慮深い男性」という印象だ



魚座で7室支配の火星を土星が傷つけるため思想色のある熟慮を抱えた影の濃い人らしい

あまり健康そうな外見ではなくどちらかというと老け込んでいるかも知れない



再び月の住む2室双子座をラグナと見なすと

7室支配の木星が減衰してしまい生来的凶星の土星と星座交換するため

こちらでもやたらと精神年齢が高く世俗の茶飯事には動じないといった腰の重さがある



この木星と土星の支配と配置が巧妙であり

本来のラグナと月の両方から見て9室対10室や9室対11室の強力なヨーガが成立する



ただし月から7室目を支配する吉星(木星)が8室を支配する凶星(土星)と結びつくため

場合によってはパートナーが随分と意固地になって譲ってくれない強情さを見せるようだ



しかも木星は同時に10室も支配するためそれは広範な人間関係にも言える外患ぶりである



チャンドラ・ラグナでは

木星と星座交換した土星は「社会活動」の10室で火星とコンジャンクションしており

火星の影響を木星自身も受けるとすると

8室や11室の象意を凶星的体験で受けることとなり極めて強く傷つけられている



魚座で起きている火星と土星のコンジャンクションは彼女自身の11室や10室であり

結婚という問題を除いても物騒でものものしい配置になってしまっている



ただしその配置は魚座であるため

ボランティア的な大衆運動やより更に思想の色合いが濃い文化的活動のようである



人生の核心的本質であるナヴァムシャの10室で生じるこの所見は

どうやら彼女のラーシ・チャートの素質が煮詰まった結果とも言えそうで

品格や情緒は辛うじて保たれているが6室的8室的なラーフらしい獰猛さが滲んでいる



魂の履歴書であるシャスティアムシャを確かめてみる





見れば彼女の魂もまた私が以前に挙げた別の女性同様に感嘆すべき勇壮さに満ちている



今生で逆行する土星はラグナで定座し土星的な秩序と理知を厚く包含する

目を見張るのは2室で高揚するラージャ・ヨーガ・カーラカの金星であり

すぐ隣の3室でも太陽が高揚してしまうことで両隣が猛威ある凶星に挟まれている



滋味と言うべき夢想のような宗教的な様式美を発散していて

あまりにも霊妙かつ崇高な意志を掲げていたらしく

あたかもはるか古代の異国で為政者を務める者の配偶者か眷属だった姿を思わせる



おそらくはその清く名高い美徳の軌跡が

彼女を今生で木星期に生まれさせつつ

未だ経験できていないラーフ的なカルマを

まるで自ら望んで紡ぎ重ねていくかのような生い立ちである



やはりジョーティッシュというのは単なる偶然の良し悪しではなく

カルマ上での過不足が示されてあることを理解させられる



元も子もないが地球に生まれている時点で誰しもが平等なのかもしれない



                                       以上

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