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香川照之氏を父・市川猿翁との関係で再検証する

執筆者の写真: 鹿村文助鹿村文助

更新日:2022年9月5日









前回に試みた香川氏のラグナ検証から約1週間になる今

後追いの追撃合戦がネットでは衰えないままである



私個人にとっても悲しく虚しい思いがボンヤリ吹き溜まっている

実姉と家で大和田常務の物真似をして笑っていた時間が「過去形」になってしまった



香川氏は木星期までメジャーシーンでかなりの活躍を見せた一流タレントだった

NHKでも昆虫博士として教養を披露した取り組みが文科省からもお墨付きを得ていた





香川氏の実績はこの10日ほどで過ぎた歴史の一部となり果てた





今回のスキャンダルには言うまでもない結果が待っていた



前回では香川氏のバイオグラフィーを省いてマクロな検証をしてしまったが

今回は改めて氏の生い立ちを実父の当代市川猿翁との関係から振り返って再検証したい




2代目・市川猿翁について






香川氏の実父は先代の市川猿之助であり現在は2代目「市川猿翁」を名乗る政彦氏だ

1939年12月9日に当時の東京府に生まれている



市川團子から昇進し1963年4月下旬に3代目市川猿之助を襲名するも

その後の7ヶ月弱で祖父と父親が揃って逝去してしまい孤立無援の境遇に立たされる



やっと24歳になるかどうかという若さで奮闘することになった政彦氏は

全く別の家系の派に習うことを拒み

我流の歌舞伎を追及していくことをこの時点で強く決意していたようである



三代目猿之助を襲名後ほどなくして祖父・初代市川猿翁(二代目市川猿之助)と父・三代目市川段四郎を相次いで亡くすという悲運に見舞われる。後ろ盾を失い「梨園の孤児」となりながらも他門の庇護を受けることを潔しとせず、祖父譲りの革新的な芸術志向と上方歌舞伎伝統のケレンとを結びつけることによって歌舞伎界に新風を吹き込んだ。


こうした「ピンチはチャンス」の人生を演じなけらばならなかったことは重要な実証対象だ



猿之助歌舞伎のエンターテインメント性に富む、見応えのある舞台は観客からは高い支持を集めたものの、当初はまだ一般に保守的だった他の歌舞伎役者や劇評家たちからは相手にされないほどの酷評を受けた。十一代目市川團十郎の実弟で、市川宗家の御意見番的存在だった二代目尾上松緑に至っては、この猿之助歌舞伎のことを「喜熨斗サーカス」とまで言い、揶揄している。木下大サーカスを猿之助の本名の「喜熨斗」(きのし)にひっかけたものだが、宗家の連枝とはいえ、別家の役者にそこまで言われるのも、歌舞伎界で孤立無援となった猿之助の悲しさだった。

(同上)



歌舞伎本来の様式美を壊してしまう劇的な演出を意欲的に取り入れたことが批判の的になり

当時は見世物じみた低俗な表現であるとして少なからず論者各位から冷遇を浴びていた



こうした立つ瀬がないままの若年期をものともせず舞台を踏み続け

同時期の1965年には元宝塚歌劇団の女優・浜木綿子氏と結婚する





成婚の数ヶ月後には早くも木綿子氏が懐妊し

その年(1965年)の12月7日に照之氏が誕生する



しかし当時の猿翁氏は逆境に打ち勝った果報者たる栄達を素直に享受することが出来ず

照之氏が1歳になったかどうかの頃には

舞踏家で女優の藤間紫(ふじま・むらさき)氏と不倫に走り家庭生活を自ら閉じてしまう



のみならずそうした自身の半生を悔いることがまだまだ無いようで

後に現代俳優として独立を果たした照之氏が再会しに訪ねてきた際にも

何を思ったか実の息子を強く拒絶して絶縁の意志を見せつけた



息子・照之は大学卒業後、1989年に俳優デビュー。それを機に25歳の冬、思い立って猿之助の公演先へ会いに行っている。その際、猿之助は「大事な公演の前にいきなり訪ねてくるとは、役者としての配慮が足りません」と照之を叱責、「即ち、私は家庭と訣別した瞬間から蘇生したのです。だから今の僕とあなたとは何の関わりもない。あなたは息子ではありません。したがって僕はあなたの父でもない」「あなたとは今後、二度と会う事はありません」と完全に拒絶し、突き放した。

(同上)



率直に申し上げて全く 「随分な苦労人の父親」 である

若くして理不尽な辛酸を舐めるばかりの途上で心根が正しくない矛先に向かった印象だ



こうした政彦氏の人生が正しく描写されたチャート想定はやはりそれほど難しくはなかった

実子との確執や表現者として世俗と闘い続けた上にパートナーとも敵対した事実が肝である



おそらくは──






このようになると思われる






猿翁氏の有意な運勢的キャリアは火星と土星の星座交換である



ラーシは土星が牡牛座ラグナ同様に最良なヨーガ・カーラカになった土星で

それが「生来の才能」の2室や「人間関係・社会参画」の7室を支配した火星と

5室対7室のラージャ・ヨーガ同士で星座交換する気高く勇ましい結びつきを果たす



5室は3室から3室目でその本質であり

ラグナロードもまた「努力・実践・成長」の3室に住む芸能の表示体たる金星だ



弱い自分との完全な決別は生来的凶星同士が機能的吉意で絡んだ「突破力」で示され

7室の土星がケートゥを伴って減衰してしまうことで「多くの相手から蔑まれる」経験となる



星座交換の起きたその7室にはラグナの月が対向し

月の支配する10室の象意が更にまた様々なヨーガを組んで運気を打ち震わせている





火星は7室に伏在してマハープルシャのようにもなり

月と対向して仮想的にチャンドラ・マンガラ・ヨーガを繰り出し

定座の強さを取り戻した土星が7室から機能的吉意を月に与えて

ラグナで起こるラーフと月の狂気的なコンジャンクションを抑制している



平成の時代に入ってごく普通となったワイヤーで演者が宙を舞う「宙乗り」の演出は

上記のような月と火星・土星とラーフ・ケートゥの入り組んだ劇的な表情が物語る



また



スーパー歌舞伎(スーパーかぶき)は、三代目市川猿之助が1986年に始めた、古典芸能化した歌舞伎とは異なる演出による現代風歌舞伎。新橋演舞場などで上演されることが多い。第1作は梅原猛の脚本による『ヤマトタケル』であった。2014年より「スーパー歌舞伎II(セカンド)」として、四代目市川猿之助を中心とした作品を上演している。


猿翁氏は歌舞伎史上で初めての番外的二次創作の枠組みを創始した画期的業績も誇る

牡羊座で減衰した土星が星座交換した強い機能的吉意でこの営為を実らせたと言える



粗雑な私事を記すが

私もコロナ禍の数年前には相方とワンピース歌舞伎ナルト歌舞伎を新橋で観たものだ

猿翁氏の尽力なくして歌舞伎の間口は広がらなかったのだからその先見の明は実に業物だ



やはり7室で定座並みに働く吉意の土星がケートゥの作用で繊細な感応力となり

6室に住む定座の木星に逆行し独特な相乗効果を発露している所見が旺盛に息づいている



(なお氏がスーパー歌舞伎を創始した当時のダシャーは

「ケートゥ-月期」~「ケートゥ-火星期」で見事にラーシの1室7室軸が絡みを起こす時運だった)



ラグナロードが8室も支配した3室在住の金星で細微な感性を生まれ持つ証左になり

住む星座も豪快な上昇力を担う射手座であるだけでなく

ディスポジターの木星が複雑な強さを帯びた土星と絡んでその力学に加わっている



歌舞伎俳優としての政彦氏は伝統芸能の中長期を栄えさせた稀代の立役者であった




何故わざわざ結婚後に不倫してしまったのか




破局の原因は不倫だったが、その相手が日本舞踊藤間流名取(のちに紫派藤間流を創始し家元)で女優の藤間紫である。藤間は猿之助が12歳の時の初恋相手だったが、16歳年上で既婚者、子持ち。しかも夫は自身の踊りの師匠、六世藤間勘十郎(二世藤間勘祖)ということもあり、なんとか諦めをつけ結婚したのが浜だった。だが結局双方とも思いを絶つ事が出来ず、一人息子が1歳を迎えた頃には家庭を捨て、駆け落ち同然の暮らしを始める。



上述したが猿翁氏は息子の照之氏が生まれてすぐの頃に突如として不倫している

当時のダシャーは土星期が終わりかけていた場面で水星期の直前あたりだった





手始めに息子の照之氏を妻・木綿子氏が身籠った時局をD7で確かめておく





照之氏の生年月日は「1965年12月7日」で逆算すると1965年の2月初旬に懐妊となる

即ち「土星-木星-水星期」の終盤頃に当たる



マハーダシャーの土星はラグナに住んだヴァルゴッタマで

9室支配で二重に子供の表示体となる木星は見事に土星と対向し

水星はその土星木星がアスペクトを一致させる3室双子座に定座する奇跡的な整合を見せる



まずダシャー照会はこれでほぼ正しいと言える



そして本題の不倫という不祥事だが

このサプタムシャの配置だけでも納得できる所見が出来ている



土星期が終わりかけてダシャーチッドラとなり水星期がフライングすると

サプタムシャでは3室がラグナになり

その双子座にアスペクトしてくる木星が7室10室支配の機能的凶星に変転し

双子座から数えた5室12室(恋愛と性的な喜び)を金星が支配して高揚している



甘美な出来心が幅広い交友(7室10室支配の木星)でジワジワ滲み出て我慢できない様子だ

こうした因果な配置が起こる直前に政彦氏が結婚してしまうのは至極カルマ的である





結婚それ自体の時運的展開については

まずラーシにおいて7室(結婚)で定座並みになる土星がラグナになり

土星から見た7室の支配星で結婚の表示体の金星が土星から9室目(≒子供)に住み

金星のディスポジターの木星へ向けて土星は逆行する



木星は土星から見た9室12室支配で12室(性的な交わり)に定座するために

結婚と実子の懐妊がほぼ同時期に起こる経験だった

(なおプラティアンタルダシャーの水星も本来のラグナから見て9室12室支配で

2室蠍座に住むがそのディスポジターはマハーダシャーの土星と絡んだ火星だ)





他方でナヴァムシャは木星が土星へ一方的にアスペクトし

土星はヴァルゴッタマで9室(子供)の象意が顕在化しやすくなり

ラーシと同じく再び魚座に逆行して木星(子供の表示体)の影響を強く受けて

ラグナロードであるプラティアンタルの水星はアンタルの木星とコンジャンクションする



言葉を選ばず端的に申し上げると

「成り行き任せに異性と結びついた結婚」という印象である



ラグナロードを含んだ3室獅子座は

「華美で豪奢な立振る舞い(演芸)を見せる」という性格で

そこに生来的吉星が惑星集中するために

猿翁もとい政彦氏は獅子座的な浪漫主義の人物である



ダシャーの流れとして

結婚後にナヴァムシャのラグナロードに順番が巡ってしまうことで

獅子座的な身の丈に余る自尊心で際限なく自分本位な言動を見せるようになる



3室とは手足と身体を用いた自己表現であり

住む星が凶星であれば実直な克己心を生み出し

吉星だけであれば因業な物欲と情欲を発散する原罪の根源となる



吉星のみで作られた惑星集中はそれ即ち不倫であり

土星期が終わらない内に父親となってしまった結果

牡羊座でヴァルゴッタマの9室支配の土星の両隣を凶星が挟んだ配置を顕現させ

土星的な理性が減衰したまま強くなり極端な振れ幅で情緒不安定に働くこととなる



その土星が11室から「子供」の5室を傷つけて

土星自身も5室の結果である9室の支配星のために

非業のカルマを生まれ持った照之氏という息子が政彦氏の許に出来したのである



ラーシで起きた5室7室の星座交換にはケートゥが絡み「子供に裏切られる」所見となる



5室はそもそも「息子・娘」のハウスであり

2室7室支配でマラカとなった大凶星の火星との星座交換は

子供を巡る根深いカルマを指している

(よく見ると6室魚座で定座した木星は両隣を凶星が挟んだプトラ・カーラカである)



息子の照之氏のラーシでは9室支配の金星(=政彦氏)が12室で前後を凶星に挟まれている



そして照之氏の5室に住んだ機能的凶星の木星は

チャラ・カーラカにおいてもグナティ・カーラカで

照之氏自身を指すアートマ・カーラカの火星と対向して

氏の息子で現在の市川團子(香川政明氏)と氏本人のやがて実る確執を指示する




政彦氏の因果が孫に報いて実際にとても根深いカルマの物語を紡いでいる




根深いカルマとは具体的に何かといえば







この現実そのものだろう



2019年7月5日にこの “ 事件 ” は起こるべくして起こったが

その時の政彦氏のダシャーは「月-ラーフ-火星期」だった





月とラーフがコンジャンクトしたラグナに対向してまさに火星土星の星座交換が起こる




こうして息子と父親は火星と土星という凶星が交わったカルマを通じ原罪で再び結ばれた

今この時も世論は非業の父子二人の過去現在未来を白日に晒しその罪を焼き払わせている



私は久々に無力を感じ仄暗い思いである

ここまで如実なカルマというのをほとんど知らないからだ



カルマの種が不義の大樹となって枯れて朽ち果てるまでには久遠の時間が必要だ

罪はそれが成されるまでにかかった時間のはるか何倍もの年月を経てやっと薄れていく



この私が年老いた頃にやっと昔話になってくれるようなカルマを皆が目撃している

悲しいがこれでまたジョーティッシュが必要とされる節目を今日のこの日に迎えたのである







ナマス・サルヴァ・ジュニャーヤ

(平穏無事に帰命されよ)



以上

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