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減衰木星の変則的恩恵-事業で成功するが私生活に難があるチャート-

更新日:2022年6月4日






今日で6月に入りすっかり夏らしくなってきた

程よく晴れた朝の爽やかさとは裏腹に私は気乗りせずその時間から東京に出向いていた



私の会社が前年度の決算を終えたので

コロナ禍で業況が下り坂を転げ落ちた私の自社を指導し続けていたコンサルティングに

直行する予定が生じたためだ



私の自社に融資した金融機関各位に向けて提出予定の中間報告の内容について

私の地元の県内商工会議所のOBで組織する経営再建の支援担当者も交えて

朝から昼手前まで自社の前年度決算の概要を共有し計画の再編を案じていた



自らの体たらくを不甲斐なく思いつつ

とうとう来るところまで来たなという不思議な諦念もあった



コロナとは立派な自然災害である

この容赦ない局難に私の自社は様々な策を講じ続けどうにか討ち死にせずに済んでいる



私はラーフ期の終わりに自分の人生も破滅してしまうことを覚悟してもいたが

私から解雇を言い渡され劣情を露悪させた一部の従業員から罵倒された以外は

何ヶ月かの間に自宅で独り怒りやら失望やら負の感情に悶えていたくらいで

私は五体満足のまま今日のこの日を迎えられた



自社の倒産という最悪のシナリオだけは避けられるように

コンサルティングと支援団体が何とか私の会社を庇護してくれており

その途上を絶妙なバランスで進むしかない現実は残念ながら当然至極である



自分を丸裸にできるほどの安心と平和には程遠いが心を絶望が蝕む訳でもない



これこそ4室7室支配の木星が主役となり太陽とラグナロードにアスペクトする運勢である

私自身これからも努力させられるにせよ何とか「上手くいっている」状況だ



私は自社の経営環境の合理化で初めて相当な断捨離を実行できたことで雑念も薄れてきた

危機感が有るような無いような静かな心境で過ごした帰りの電車の中

懲りずにジョーティッシュでこのコロナ禍を戦った経営者の私生活が知りたいと思った



そして今

過去に私が占断した依頼者様の中から事業経営者をしかと見つけたのである










この男性は単純に「結婚できるとしたらそれはいつでしょうか」というご相談内容だった

会社の経営者で「趣味等の私事が楽しい毎日ですがコロナ禍の影響もあり今後を考えたい」

といった主旨でそれなりに真剣なご様子でもあった





ダシャムシャは経営者だけあって特異な強さが複数の配置に見られる


ラグナに住んだ火星は10室の本質である7室を支配してアスペクトバックする

月はラグナと見なした時に月自体が7室を支配して同じくアスペクトバックする

そして最も肝心な本来のラグナから見た10室には11室支配の木星が住む



木星の位置だけでも全く天晴れなことだが

その木星には対向からディスポジターの土星がまたアスペクトバックしており

土星は全ラグナで最も強い9室10室支配のヨーガ・カーラカで4室に住む

あたかも「長大な根城を構えて黙々と実務を営む古強者」の趣が如実に映える様子だ

(4室支配の太陽が12室で高揚するのも同じような様相を暗示していて恐れ入る)



この社長様が私にご相談を下さった時点でダシャーはほぼ「ラーフ-水星期」だった

ダシャムシャの土星は4室でラージャ・ヨーガになって逆行して3室に住むように働き

即ち9室に対してもアスペクトバックを起こし

ラーフが月とコンジャンクションするその9室は前後を生来的吉星に挟まれて

シューバ・カルタリにすらなる奇跡的な吉意の保護を受けている



ダシャムシャのラーフと水星は12室目と2室目の位置関係になり凶意の時運ではあるが

とても堅固な吉意の厚遇を受け順調にこのコロナ禍を耐え抜いたようだ



しかし一方でラーシは私と同じ乙女座ラグナで土星は6室を支配して10室に住む




土星は5室支配で10室に住むラージャ・ヨーガであっても6室の象意でチャートを傷つける

逆行することで9室からもアスペクトを起こしてしまうので

ラグナロードの水星が住んだスーリヤ・ブッダ・ヨーガの3室が傷つけられる



ラーシとダシャムシャのこうした相違から分かるのは

「客観的には悪運が強く巧みで賢い会社経営が出来ているが本人はそう思っていない」ことだ



土星は6室を支配して逆行することで逆境が余計に理不尽さを煽ってくるだろうし

10室にケートゥが住んだ配置は広範な第三者からの認知が無く評価されにくい立場を示す



そこに5室(後輩・徒弟)と6室(目下の相手・従業員)を支配する土星が住むために

4室10室でラーフと土星が対向した「ラーフ-土星期」は業況がご多聞に洩れず悪化して

結果かつての私と同様に従業員と対立し自社組織が分断されうる苦境に置かれたはずだ



土星は逆行することで生来的な凶意が強まりケートゥは土星の悪意に染まって10室を損なう

5室支配の土星が10室でラージャ・ヨーガのためとても冷徹な断行力で実務を進める様子で

その土星は逆行することで木星が起こす5室目のアスペクトを受けて「帳尻が合う」らしい



ラーシでは10室を一見しただけで事業経営者らしい覚悟と実行力が伺えて感心しきりだが

やはりこの御方の最も優れた幸運は5室が相当に特異な配置を実現していることだろう



ケンドラだけを支配した木星が減衰したラージャ・ヨーガになりそれは月から6室目である




6室で減衰する木星というのはつまりパラーシャラの例外則であるが

私がラーシで持つ「6室水瓶座の木星」というのは木星が厚い吉意で6室を保護してしまう

だから私の場合は本音と建前がせめぎ合ってムシャクシャしながらも敵(6室)を許す配置だ



この社長様は私の特徴と全く真逆に木星が働くと考えてよいのである

即ち古典が伝える限りでは「敵を粉砕する」のが6室で減衰する木星の効用だ



しかしそうした理性が絶えた激越感情は月が住む12室から見た場合にのみ正しい配置で

平常時は凶星の土星が支配する女性星座で2室9室支配の金星にケンドラ支配の木星が伴い

静かで控え目に振舞う奥ゆかしさが好印象を持たれる男性というイメージである



乙女座ラグナの減衰した木星というのは他のラグナには見られない特殊相だと言える



私が師の許でジョーティッシュの中級者講習を受けていた際に

同期の受講生だった女性の方がこの配置を持っており

その方は私と同じ配置も持っていてラグナロードの水星が10室でバドラ・ヨーガになり

9室支配の金星が9室で定座し月はコンジャンクションして高揚する理想の所見で

その方の月や金星や水星がとにかく強かったせいもあってか

「木星が減衰しているのに何故この人はこんなに上品で優しいのだろう」と不思議に思った



木星はジョーティッシュでも最高位の生来的吉星とされて即ち「グル」(導師)の表示体であり

その木星が4室7室という相関のある吉意のハウス(7室は4室から4室目)だけ支配するので

吉意が過剰になって飽和状態をもたらすために機能的凶星とされるのだが

乙女座ラグナの木星が減衰してしまうと威力が緩和された上にラージャ・ヨーガになり

人間的な立ち振舞いに無理や無駄がない最良なコンディションを帯びるようになるのである



おそらくは

その減衰した木星が火星土星からアスペクトされない配置のまま

ガージャ・ケーサリになったりして木星の方から二大凶星にアスペクトしていれば

人間的にはとても温和で賢く報恩を感じさせる尊い人物を生み出すと考えられる




月をラグナにすると金星は3室10室支配で6室に住み土星は11室から10室へ逆行する




獅子座ラグナで木星は5室8室支配となり8室が凶意を持たないが

山羊座で減衰すると8室が6室に絡み非常に険悪な配置になってしまうにもかかわらず

8室の象意が減衰してパラーシャラの例外則がヴィーパリータと同時に働くので

3室10室を支配した金星で表意される「タレントか芸能人のような女性」を

何やら手厳しい態度で甲斐甲斐しく教育したりマネジメントしている様子が想像される



しかし本来のラグナである乙女座の山羊座は5室になり

9室から9室目でその結果となるハウスに2室9室支配の金星が住み

木星は4室(≒教室)の象意を担って5室(≒学問)に住んでラージャ・ヨーガを繰り出している

そもそも木星とは「グル」(教師)の表示体である



獅子座の月から見た土星は6室7室支配で心労の尽きない厄介な相手を意味するが

獅子座から11室目に住みケートゥがコンジャンクトして11室の持つ「誘惑」の象意を否定する

ただし土星は逆行して10室目に住むように働き木星から5室目のアスペクトを受けるため

周囲から嫌われる辛辣な教育係」の姿を示す



明らかに時と場合次第で「飴と鞭」を正しく使い分けているかのような態度であり

察するにこの社長様のご職業は芸能事務所の社長か養成学校の主任講師兼校長か何かだろう




ナヴァムシャではラグナロードが3室支配の木星と対向し4室と5室が星座交換している




月はヴァルゴッタマになって秘められたプライドの高さにもなり

月から見た6室7室支配の土星は「教育」の5室に住んでアスペクトバックの木星と対向する



土星が逆行してきた蠍座は月から4室目でケートゥがコンジャンクションし

対向する牡牛座からは最良な9室対10室の星座交換を起こした火星がアスペクトしてくる

その火星は水星のディスポジターで4室9室支配という理想のヨーガ・カーラカでもある



獅子座から見て4室にヴァルゴッタマの水星が住んでその水星は「スピーチ」の2室を支配し

対向から星座交換で非常に強くなったラージャ・ヨーガの火星が情熱的な吉意を注いでくる

しかし水星にはケートゥが伴うのであくまでも静かに少しずつ言葉を選ぶ様子だ



やはり水星は本来のラグナから見て6室9室支配で優しくない冷徹な知性を意味している



4室10室で水星や吉意のある火星や芸術芸能の表示体たる金星が絡み合う配置で

見れば見るほど教師であるか指導者のような表象がアリアリと発露している



私はこの社長様との対話で「教師のようなお仕事かと思われますが」等と私見を述べたが

やんわり「違います」とだけ答えられた結果だった



ズケズケと相談者の私情に踏み入る勇気の無い私はそれ以上を不問に付したが

とはいえ気がかり気味な特徴ではある



D9の月をラグナにすると月は12室を支配しD10の太陽は4室支配で12室に住み高揚する




まさかとは思ったが

もしかするとこの方は夜間から深夜早朝にかけて営業する類の飲食店の経営者かも知れない

ダシャムシャの木星は「多様な異文化交流」を意味する水瓶座で賑やかなコミュニティを指す



ダシャムシャの土星は10室を支配して4室からアスペクトバックするので

職場がまるで「家の中のような場所」という趣意になる

ダシャムシャは月がラグナになると10室支配の金星が12室に住んで火星にアスペクトされる

山羊座ラグナでは4室11室支配の火星が「付き合いを大事にするヤンチャな人達」を意味する



ダシャムシャのラグナからアスペクトバックする火星は

羽振りが良く元気でヤタラと賑々しい友達のような相手ということかも知れない



月は獅子座に住むため月がラグナになると12室(≒真夜中)を支配することになる

この社長様は月がヴァルゴッタマで強くその10室目でラーフが高揚し星座交換で金星が絡む





月のディスポジターの太陽は社長様のアートマ・カーラカでもあり

月のナクシャトラの「プールヴァ・パールグニー」は華美な色気を醸す芸能人的性格だ

プールヴァ・パールグニーを支配するのは金星でありとてもラグジュアリーな印象で

ナヴァムシャの太陽が住むのは金星が高揚する星座の魚座でありつつ

2室から2室目でその本質になる3室目でしかも「飲むこと食べること」も示唆する水の星座だ



太陽は10室の表示体であるため

それがアートマ・カーラカとなると機能的凶星であっても10室的な働きも担うはずである

太陽はラーシでまたもリキュール類の比喩である蠍座に住んでいる



おそらくこの社長様は自らもスーパープレイヤーとして夜の街に名を馳せる方かも知れない




ガブガブ行っちゃうようであればコロナ禍の経営難は筆舌に尽くせないほどだったろう




私も地元の経営者間の交友でスナック(実際はほぼキャバクラ)を経営する方と懇意だったが

コロナ禍が始まるとお店の玄関からは何ヶ月も休業を告知する貼り紙が取れなかった



またその元知人が何万円も気前よく払って遊んでくれる独身の私に気を良くして語った限り

「キャバは空気にオプション払うような仕組みで原価なんか有って無いくらいのモンだよ」

とのことだった



とにかく繁忙期は儲かってスゴいことになる業種で税務対策もアレやコレや(以下略)である



おそらくこの社長様もしっかり内部留保がありコロナ禍は急場しのぎが出来ていたのだろう



ラグナから見るとラグナロードの金星は8室(役得)で水星と強いダーナ・ヨーガを組む



2室5室支配で完全な吉星になった水星とラグナロードは生来的吉星同士でヨーガを組み

水星は2室へとアスペクトバックして更に強くなりまるで趣味感覚で稼げる仕事を意味する



またこの方は出生時刻がどうやらかなり正確だったようで

シャスティアムシャのラグナが持つ時間幅でもちょうどその中頃に位置しており

十分に吟味できるチャートになっていた



ラグナロードがラグナに定座した惑星集中で機能的凶星の金星に負けない吉意が実っている




飛び抜けた急発展や成長力を意味する射手座ラグナで木星がそのままマハープルシャになる



コンジャンクションした火星も機能的吉星となって人間関係で前向きな主体性を与え

吉意同士の猛烈に強いグル・マンガラ・ヨーガに機能的凶星の金星がコンジャンクションする



間違いなく「本気で遊び本気で勉強する」実直さがそのまま職業に通じている所見で

所謂「飲む・打つ・買う」ことにも抵抗なく慣れて行った結果それが自身の職業になったようだ

射手座ラグナで重要な7室10室支配の水星はまたもや水の星座の8室蟹座に住んでいる



確実に友達付き合いが仕事になっている様子で

2室3室支配の土星からアスペクトされる水星は「共に遊び語らう相手(≒固定客)」を意味する

その2室3室支配の土星は11室で高揚し

コンジャンクトした太陽は減衰しつつ2室対9室のダーナ・ヨーガも持つニーチャ・バンガだ



5室牡羊座に住んだ月は8室支配でケートゥも伴う神経衰弱のような配置だが

ラグナで定座し機能的にも吉星の木星が厚い吉意のアスペクトを月に与えて保護するため

手探りで悩みながら人付き合いを続ける繊細さが人間的な賢さとなって働く様子で

トッポいだけのフリをして実は神妙で人の機微によく気がつく優しい性格のようである





だからこそこの方は公私の区別をつけられないことが最大の欠点となる





潜在する弱点を示すD30では定座の土星が4室支配の太陽にアスペクトしてしまう




土星はまた完全な吉意だけを備えたヨーガ・カーラカで悪影響は弱いはずだが

ラーフがコンジャンクションして10室の象意を濁らせていたり

そもそも土星は逆行しているために心根に内向的な不器用さが残っているように働く



また月は3室支配で機能的には凶星となり8室に住んでやはり弱含みの所見である

月の4室目で木星が定座し月のディスポジターがマハープルシャになっていて

ガージャ・ケーサリでもあるため「内気で優しいが派手に遊ぶことも好む」性格である

月がラグナになると7室10室支配の水星が減衰してニーチャ・バンガになり

月から10室目で減衰した機能的凶星の金星も水星と相互アスペクトでニーチャ・バンガだ



トリムシャムシャでは本来のラグナと月の両方から見て6室支配の金星が減衰している



それは良く言えば「敵が現れず弱点が見えにくい」が

悪く評するならニーチャ・バンガになって復調している金星(男性にとっての婚約者)である



そして本来のラグナから8室目に住む月は月自体をラグナにするとその月が8室の支配星だ

月から見たケンドラには生来的吉星だけが住むので精神衛生上の悪影響は少ないようである



最も精密に影響するD60では7室支配の水星は8室に住んで凶星しかアスペクトしない




ラグナでは明るくやかましい惑星集中が起こっていてそれに比べるとあまりに淡泊である

7室の支配星が8室に住むので何か不意に惹かれてしまう異性がそばに居る様子だが

水星にはラグナから火星がアスペクトし11室から高揚の土星がアスペクトしてしまう



そして何より重篤な所見は月をラグナにした場合で

月と対向するのはラーフとコンジャンクションした高揚の土星と減衰の太陽のみである



月自身は月の住む牡羊座から見て4室支配でケートゥが伴うので心的に薄弱な傾向があり

凶意が極大まで強まった10室11室支配の土星がその月を救いようもなく傷つけている




総合判断としてこの社長様は仕事に徹すること以外には人間的に安泰で居られない人だ




ナヴァムシャでは金星が星座交換するが機能的凶星の火星と交わって7室は絡んでこない




月がまさに配偶者の7室を支配して8室に住みヴァルゴッタマになってしまう

この社長様には口が裂けても言えないが「自尊心が強い癖に純粋な恋愛に憧れがある」所見だ

ハイブランドを纏うラグジュアリーな女性を好む肌感覚に対し妙な “ ウブさ が生きている



その月に向かって星座交換した強い火星がアスペクトして傷を与えていて

目の前で繰り広げられる人間関係がごく稀にやかましく感じるのかも知れない



しかし火星と金星の星座交換は色情の濃い恋愛沙汰を生む絡みであり

高揚したラーフを巻き込んでいることでより一層アブノーマルな「火遊び」を生みやすい



ギラギラとした奢侈な付き合いが仕事になった方の最大の悩みがこの社長様にも現れている

自分自身の個性と才能を育て続けた結果はもどかしい「覆水盆に返らず」の人生である




気の迷いと現実のしがらみの間で溺れ続けることがこの方のカルマになっているようである





ダシャーを振り返るとナヴァムシャで対向した配置になる「ラーフ-水星期」の途上である

コロナが終息する最中に彼の心身が異なる疾病を患っていないことを末筆ながら祈念したい




以上

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