年が変わって随分と日が経ったにもかかわらず
今更やっと部屋を隅まで掃除した怠慢な私
しかし普段とは違うことを億劫がらずやったことで思わぬ偶然にありつけた
埋もれてモノだらけになった塊の中から
大学時代のサークルで作ったメンバーの自己紹介の資料が不意に見つかった
何を隠そう私は学生劇団に何年か所属していた
遡ること16年ほど昔なので今より前時代な技術で手作り感のある宣伝チラシのようなものだ
そのチラシには団長その他レギュラーメンバーのプロフィールが記載されてあり
特に私が個人的にも尊敬し慕っていた先輩の生年月日等が明示されてあった
本当にいつもの悪い癖で例により私は先輩をジョーティッシュで再品評することにした
私が憶えている限りで先輩個人のインフォメーションに依拠し
レクティファイしていった結果が以下のチャートである
前回に「9室が強過ぎるとどうなるか」という記事をUPしたが
その投稿とはかなり好対照になるパターンの興味深いモンタージュが出来上がっている
蟹座をラグナとした根拠は
本人のかなり「お道化た」明るい性格もさることながら
先輩本人とは似ても似つかないほど厳しく格の高い家柄で先輩が生まれ育った事実である
先輩は地元の病院に勤務する内科医を実父に持ち
実兄は旧帝国大学の医学部を経た研修医(当時)という高位な上流階級の末の息子だった
当の本人は医学の分野へと向かう道のりに進むだけの素養を生まれ持たなかったまま
一年浪人の後に私も入学することになる大学の文学部に進学したのである
今以てなおとことん孤独で世知辛い人生を歩んでいた方だと思う
そうした本人の境遇がこの蟹座ラグナの場合かなり明確に指示されてあると感じた
本人のその生い立ちはやはり人生の深層部を映したナヴァムシャでより明示されており
8室と9室が星座交換するその絡み合いにラグナロードの太陽が巻き込まれている
9室とは父親やグルの部屋であり8室は避けられないカルマ的境遇を意味している
その二つが最も深く関わる星座交換は「本人とその父が因縁の鎖で繋がれた」様相を作る
即ち本人は生来の主体的な自由以前に家が備え持つ品格に従わせられる立場に置かれている
このナヴァムシャを最初に見てラーシが蟹座ラグナであることが決定打になった
そ の 性 格 と 容 姿 や 人 間 関 係
レクティファイ後のラグナと月のナクシャトラはどちらもプシュヤになる
27種の全ナクシャトラで「最も性格が良い」ともされている善良なキャラクターである
確かに先輩は高偏差値な人に特有の巧みな処世術をしっかり身に着けていた印象で
初対面の相手には明るく気遣いを重ねて物分かりが良く
相手の意を汲む快い話術があった方だ
もちろんそうした人格形成はラーシの配置全体で総評すべきだが
ラグナや月のナクシャトラでも本人の生来の性格には根深く影響してくる
プシュヤは宗教的な儀礼と慣例に忠実な徒弟といったような象意があり
生まれつきの誠実さが土星の表意する伝統や文化の品性として善良に働くのである
(私が師事するジョーティシャーの方も月はプシュヤで外見的にもそうした大人しさがある)
先輩の第一印象は「インテリなふりをした下積み中の芸人」という陽気な快男児だった
眼鏡をかけた中肉中背で髪は頭の真ん中で五分五分に分けていて
黙っていると予備校の事務所で働くアルバイトの学生のような風貌でよそよそしいが
喋り出すとテレビコマーシャルで販促実演を披露する弁士のそれによく似ている
興が乗るとやや大げさで声もやかましくなりカメラの前でフザケる芸人の風味を帯びる
丁度いい褒め言葉に困るが「男前ではないのに好感が持てる不思議な人柄」である
先輩は私より1歳上の男性だが
私には性別など問題にならないほどそのキャラクターに魅了され
自分の人生にもこんな奇遇があるのかと感動したものだった
私もかつては学校内のカーストでほぼ下位だった日陰のNerdそのものだが
そういう者ほど大学で天地がひっくり返るカルチャーショックの洗礼を浴びる経験則があり
誰にでもある初々しい大人の階段の数歩上までを私は急に登れたようである
その豪快さの程はやはり7室で木星がパラーシャラの例外則となる配置で間違いない
6室9室の象意が減衰してラージャ・ヨーガにもなった所見で
世の中のヒトとモノの関わりを講談師の如き軽妙さで巧みに扱き下ろすのである
その善良な詐欺師ぶりが同年齢の女子には大変に評判だったようで
先輩と共演した舞台公演には昔それなりの間柄だったモデル同然の美女が来て驚いたものだ
7室に住む木星は性別に関係なく親睦を深められる相手に多く恵まれるという所見であり
先輩曰く「高校の頃には受付が券売所みたいなロビーの無いホテルによく行っていた」とか
こうした “あさっての方向” に早熟な傾向もまた減衰する木星の作用だと判断できる
ラグナ対7室の軸で出来るガージャ・ケーサリは6室の凶意も絡むが減衰してしまい
下品な男の汚らしさが何故かあまり後を引かないという妙な役得が与えられる配置だ
おそらくは先輩のことだから場違いな馬鹿っぷりを惜しげもなく披露し
事に及ぶ直前くらいまで相手を笑わせ続けていたのだろう
家の外では油断しない限り人を楽しませようと腐心する達者な人柄は
10室4室軸にラーフ・ケートゥが置かれて
9室魚座から火星がケートゥにアスペクトしてしまうことの影響からだとも思われる
蟹座ラグナでは火星が貴重なラージャ・ヨーガ・カーラカだが
もちろん凶星としての働きも併存し
ラーフ・ケートゥのどちらかに関わればその部屋がかなり傷つくのである
つまり冒頭に述べた家庭内での酷い緊張感が
発作的にそれをひた隠しにしようとする先輩の気苦労としても働いていると思われる
やっと二十歳ほどでそうした本当の生き様を必死に悟られないように振舞っていたことに
気の毒さと奥ゆかしさが半々といった印象がある
家 庭 運 の 薄 幸 さ と そ こ で 生 ま れ た し た た か な 心 の 強 さ
先述した通り私の先輩は内科医の実父が築き上げた保守的な家庭に育った生い立ちを持つ
それはラーシの8室9室だけでも如実に示されており特徴がよく現れている
「家としての格」や「家族の様子」を指す2室支配の太陽が8室からアスペクトバックしており
幼少期からミッチリと容赦なく管理教育を強いられた境遇が想像される
「全く逆らえない相手との関係やその場面」といった象意の8室だが
太陽の手前7室には木星が住み真後ろの9室では水星金星の強烈なヨーガが成立し
それぞれ異なったヨーガを持つ吉星によるシューバ・カルタリの配置が出来上がっている
先輩本人にとってはあくまで不本意ながらも成長の糧になる様々な経験が積み重なり
後々にそれが豊かな人間味の妙となって沢山の人を喜ばせ楽しませるという人生である
4室は客観的に見たその本人の生家を指すが
実は一度だけ全劇団員で先輩の家に夏休みの合宿と称して泊まらせてもらったことがある
そのご実家の構えの豪奢さが今となってはおぼろ気であってもまだまだ忘れられない
横長な二階建ての和風民家の棟は屋根がなかなか古式ゆかしい立派な瓦屋根で
屋根の四隅へと一筋に続いた梲 ( 「うだつ」 / 屋根の突端に置く丸筒状の形をした飾り )が
家の位格の程をそのまま暗示しているように見えた
(実際に格の低さを「うだつが上がらない」と言うが先輩の家はしっかりとその真逆だった)
(この画像イメージよりはもう少し現代風の洋装デザインも取り入れた雅な郊外住宅だった)
ご覧の通り4室にはその部屋の象意が薄められるケートゥが住むが
ディスポジターの金星は9室魚座で高揚しており
まさに日本式の典雅な伝統をありありと示す「静けさと豪気が両立する」風格を帯びていた
(因みに日本の建国時のチャートでは4室魚座で金星が高揚しており日本は魚座的な国である)
また
4室はチャート本人の実母も意味し
4室を母本人のラグナとした場合に先輩のチャートでは6室に惑星集中が起こる
私が過日に挙げた例の記事のおさらいになってしまうが
母親の6室に当たる本来の9室がどんな星座でそこに住む星々がどう働くかを診れば
母の夫(≒チャート本人の父)との関係が十分に見通せることになる
この先輩のチャートでは「母の方が父に対し献身的に振舞う」と読める所見になっている
合宿と称した先輩の地元散策を交えつつ
先輩はご自身の家族についてつまびらかにして下さったが
先輩の実母という方は先輩の実父のそばで庶務に当たる看護婦だった女性だそうである
ラグナになる天秤座にはケートゥが住んで人当たりも柔らかい腰の低さを与えるだろうし
ずばりラグナロードの金星は「自己犠牲・献身・慈善」の魚座で高揚する
しかもコンジャンクションした火星は7室支配で面倒な格下の相手を世話することを意味し
減衰する水星は9室12室支配で精神的な自立心を担うが
6室で減衰することでパラーシャラの例外則となり9室的善意が6室的な奉仕となって現れる
魚座というのは12室の象意があり12室が指し示す具体には「病院」も含まれている
こうした判読ができるのも蟹座をラグナとした場合の配置からである
なお
9室魚座を父本人のラグナとした場合にも12室水瓶座に太陽が住むが
太陽は大別的な定義として10室の表示体であり
水瓶座は近現代社会で生み出された合理的な秩序と方法論を意味し
「病院」の象意を持つ12室である時点で医師としての職務を指しているようだ
実父本人を指す木星は11室山羊座で減衰しており
本人が父親となった時点で
実務を担う中堅以下の立場には属さない責任者の側だったことを意味している
従ってかなり重責の伴う名医の定評を身に纏っているほどの人物であり
魚座から見た9室蠍座に機能的凶星の土星の住む配置がその辣腕な人柄を暗示している
一個人としての父その人はあまりそこまで親近感のある男性ではない様子だ
先輩が家の外でスタンダップコメディアンのようなセルフプロデュースに励んでいたのは
こうした厳し過ぎる父母の佇まいに向けたささやかな反抗心だったのかも知れない
ダ シ ャ ー か ら 読 め る 先 輩 の 現 在 と こ れ か ら
レクティファイが正しければ先輩は4年程前から4室11室支配の金星期に入っている
猛烈なラージャ・ヨーガとダーナ・ヨーガが両立した最高の配置であり
私が木星期を迎えたのと同じくらい私生活が開放と充足に向かい精進できている頃のようだ
ナヴァムシャでもヴァルゴッタマとなる極厚の奇跡的な吉意を浴びるかのような時運で
もしかすると千載一遇な出逢いに恵まれて周囲も見惚れる幸せな結婚を実らせたとも思える
来年の晩夏の頃には「金星-火星期」に入りラーシ上での5室と9室の絡みが発現し
子宝にも恵まれる天晴れな人生が待つとも言えそうだ
一方で金星はラーシで「母親」の4室と「評価」の11室を支配して高揚する機能的凶星のため
両親共々まるで名誉のために戦う(11室)ような日々を数年来ずっと送ってきた様子である
それがどんな状況を意味するかは世界がコロナ禍に陥り早2年となった事実で語られる
今もなお「withコロナ」が続いていく毎日
先輩とそのご家族は全く異なった悲喜こもごもの繰り返しで人生を紡いでいるのだろう
先輩
相変わらず口の減らない役立たずですみません
こんな僕でも今では社長をやりながら人の役に立とうと頑張ってきたつもりです
きっと今が先輩の最も先輩らしい人生の誉れでしょうから
無理はなさらず努めて先輩らしく沢山の人に元気の種を分けてあげて下さい
褒めていただけるか分かりませんが
いつぞやまた先輩とこの人生を共演できる舞台に上がれるようこうして学んでおります
何卒ご自愛ください
僭越ながらご健勝を祈念いたします
以上
回答ありがとうございます。とっても為になり、足踏み状態から解放された気分です。良い配置なのか悪い配置なのか判断が難しい時が多いので助かります。
実際の人生は同時期ですら、良い事悪い事発生したりするので、星の解釈も複雑になって当然ですね。アヤスケさんの記事見てると、なるほどとは思うんですが自分では とても出来ずに固まります。
私もラグナがプシュヤで火星が9室ヴァルゴッタマ。火星は定座の11室で金星ー火星期は良い事あるかなと期待したのですが最悪でした。
後から ヨーガカラカのADがMDに絡まない時は大凶になると知りました。
先輩の金星と火星がモロ絡んでいるので期待大ですね。
先輩のサルパドレッカナの影響はどの位なんでしょう?
私の火星はガンダーンタでもあるのでヨーガカラカの力もかなり弱るのでしょうか?
また ヨーガカラカの火星のアスペクトは良い効果をもたらすのでしょうか?それとも凶星の影響でしょうか?
そういった細かい所で立ちすくみます。