近年アメリカ等では日本で一世代以上前に隆盛した「CityPop」という音楽ジャンルが人気だ
CityPopというのは完全に和製英語であり当時のJpopで一つのシーンを作ったような
その世代におけるファッションの一種だったようだ
「CityPop」のサウンドの趣向は爽やかで優しく
ユニセックスな都会人のスマートさを感じさせる
海外からの評価を受けてか
最近になり当時の同ジャンルを代表する一人だった歌手の大滝詠一氏の楽曲群が
サブスク系サービスで再発売されたことが切っ掛けとなり
CityPopの名盤の一つである『君は天然色』の特製PVがyoutubeにUPされた
主要なメディアにおいても当時の時代性を再考する特集が組まれ
その最先端で個性を発揮していたミュージシャンの松本隆氏へのインタビューも行われた
社会が細微な末節まで行き届いた秩序を整備していく水瓶座的な途上にある現在では
やはりSNSの普及と充実で個人主義の住み分けが尊重されており
だんだんと流行が共時的ではなくなり
素直に温故知新の態度を実践するレトロモダンのムーブメントが目立つようになった
私自身もう流行云々という年齢ではないにしろ
好きな音楽と遠距離に関係しながら源流自体は同一ジャンルに帰納される全くの他方面へ
たまに「寄り道」したりもする
いずれ記事にしてみようと思うが
以前にラグナ検証を行ったイアン・カーティス率いるJoyDivisionはそのイアン亡き後に
創意ある挑戦として当時まだ草創期のエレクトロ・ポップ(後のハウスやテクノ)へ参戦し
「NewOrder」の名で再出発を果たした
その決心の前後譚はそれなりの時間を間違いなく要するのでまずは留め置くこととする
ではタイトル通りの本題に入りたい
当然ながらこの画像の男性をご存じない方は多いだろう
私自身この彼を知ったのも実はやっと一週間ほど前である
今では「ネオシティポップ」周辺において名実ともに一大オーソリティの堀込高樹氏である
氏のサウンドは既存の< チル・ウェイヴ >を更にリラックスさせたような格調を持つ
思うに欧米でリアルタイムのトレンドである「ベッドルーム・ポップ」とも近似していて
ファッション性やモード性を排した素朴さが今になりプレゼンスを帯びてきた印象だ
もとい海外や日本においては
ダンスアクトのための屋外パーティ(所謂「Rave」)でプレイされるサウンドが本当に数多あり
その最も単純な原点はサブカルチャー的な裏街道だったヒップ・ポップやエレクトロだが
沢山のミクスチャーを経てサンプリングの型が次々派生した「ハウス」となって散開し
それらのスタイルがまた更にリバイバルの潮流を強めて複雑にオリジンへと回帰している
と書くとなおのこと訳が分からないのでまとめると
日本で70年代から発祥したニューミュージック(フォークにロックの趣味が加わった音楽)が
試行錯誤で洗練されてややファッション的なツールとしてのBGMの指向性を持ったのが
おおよそ今アメリカで評価される日本の「CityPop」であるようだ
CityPop自体は別にハウスというジャンルが母体ではなく
フュージョンやらリファインやらの多層コピーアンドペーストで新陳代謝するハウスに比べ
「粗製乱造とは無縁な素朴で聴きやすいオールドスクール」といった感触を持たれている
(なおアメリカ本国では同じ趣向で【ヨットロック】なるレトロサウンドが注目されている)
これまでは感じるまま直観力のサウンドが五感のダイナミズム(醍醐味)として堪能されたが
今になり(水瓶座的収束の途上で)また大きな感性的脱構築の変容が進み出したのである
世界は確実に外的創発から内的超克のような緩やかなスクラップ&ビルドを起こしている
おそらくはこの2年弱のコロナ禍で俗に言う「おうち時間」のライフスタイルがそれを促して
インドア文化がヒーリングやリラクゼーションの需要にも結び付いたのかも知れない
一世代以上も過去の音楽ジャンルが「正しい目的のための個人主義」と必然的に調和したのだ
そうした背景を踏まえて聴く堀込氏のこの楽曲は瑞々しく素直で優しい
とにかく余計な起伏がないままゆっくりと流れていく編曲である
ウツヌケを済ませた私も音楽の趣味だけはジャンキーなハードロックのままだったので
ブログのネタを落ち着いて考えるにはこうしたサウンドが心底ありがたかった
コロナ禍で私生活がより一層の飽和状態になった大人は社会に溢れているだろうし
今の日本にはCityPopの流れも汲むメロウなチルアウトの癒しが貴重な良薬になりうる
この時代性を予見できていたと思わせる堀込高樹氏のラグナを以下のように想定してみた
ミュージシャンの条件として定石たる3室や5室の強さが山羊座ラグナの場合に顕在となる
ラーシでは月をラグナとして読み換えても3室支配の土星が3室の本質である5室に住み
音楽の表示体である金星とコンジャンクションし金星はアスペクトバックして強い配置だ
何よりまず金星は5室支配で4室在住のため文化人的な素養を示すラージャ・ヨーガである
次いでラグナロードの土星がその金星とラグナ対5室10室のラージャ・ヨーガや
2室対5室のダーナ・ヨーガを実現している
また所与の事実としてラグナ特定に不可欠な兄弟の存在(実弟・泰行氏)を証明する配置は
9室乙女座に在住し3室(弟・妹)にアスペクトバックする木星であり
月から数えても泰行氏を指す土星が牡羊座から山羊座(2室/家族)へアスペクトバックする
高樹氏は実弟の泰行氏とデュオの「KIRINJI」を1996年に結成し音楽活動を開始したとされる
Wikipediaによると高樹氏のミュージシャンとしてのメジャーデビューは1998年頃であるが
その時期のダシャーは「太陽-木星期」である
ラーシでは太陽が3室の本質を宿す5室に住んで「音楽」の象意が実り
木星は太陽から5室目でなおも5室の本質たる9室に置かれて太陽へアスペクトする
ナヴァムシャでも太陽はまた「自己表現・芸能」の3室に住み
木星は9室支配で10室に住んでラージャ・ヨーガとなる強力なコンディションである
(特にナヴァムシャでは「弟・妹」の3室支配星がラグナに位置し兄弟の関係を強調する)
ラーシとナヴァムシャの両方で配置に有意な所見が出来ており山羊座ラグナで正しいようだ
デビュー当時の頃の写真では高樹氏のイメージが乙女座ラグナのように感じられたが
乙女座ラグナでは音楽の表示体である金星が減衰する星座のため
ミュージシャンの素質は開花しないことになる
なおかつ
ミュージシャンはおおよそ早熟な感性を持つため10代前半で音楽に触れているべきである
高樹氏を山羊座ラグナと仮定すると月のナクシャトラはケートゥが支配する「ムーラ」で
マハーダシャーは金星期直前のケートゥ期から始まることになり
小学校低学年の時点で金星期のセカンドアンタルダシャーに入る巡り合わせだ
高樹氏が音楽に入れ込み始めた頃の思い出などは以下のインタビュー記事に詳しい
上記の同インタビュー冒頭でかなり興味深い生家の家庭環境に触れる発言があるが
その該当部分をそのまま抜粋すると──
前回チャート解読したHEATH氏にとてもよく似た境遇に生まれていることに驚いた
やはり9室に「実父・祖父」の象意がある木星が住みディスポジターの水星にアスペクトする
木星がアスペクトするのは9室目であるから水星が住むのは9室の本質たる5室となる
そして水星とコンジャンクションしたスーリヤ・ブッダの太陽はアートマ・カーラカで
3室支配の吉星である木星からアスペクトされるために音楽の才能が潜在していると言える
文化的に充実した個性と才覚が体現されるよう絶妙に組まれたカルマの醍醐味である
ラグナロードの土星は「生家」の4室で減衰しているが
コンジャンクションする金星は土星を高揚させる星座の支配星であり
かつ金星はラグナから4室目でディグバラとなり
度数が若いために多くの分割図でヴァルゴッタマにもなる強烈なニーチャ・バンガである
薄弱だった心身が音楽的な情操教育で豊かな滋味に包まれて癒し清められていくかのようだ
そんな生家の実父を意味する9室で木星とケートゥがコンジャンクションする配置は
激しいロック等とは無縁の高品位な海外のジャズや舞踊音楽が実父の趣味であることを示す
ただし木星と対向する3室魚座にはラーフが住んでグル・チャンダラ・ヨーガにもなり
高樹氏本人はそうした成育環境を素地としてより高く跳躍し最後は所与の価値観を捨象する
それでも高樹氏が泰行氏と生み出した楽曲に素朴で柔らかいサウンドが多いのは
氏本人の精神性を指す9室の状態がそのまま現れているからだろう
KIRINJIをブレイクさせ後進の何名ものアーティストがカバーしたとされる「エイリアンズ」
穏やかで詩的な情緒ある趣意は9室と吉星やケートゥの絡みを思わせる
メジャーデビュー後15年程KIRINJIは兄弟バンドとして活動していたが
2013年春頃のライブツアーを以て泰行氏がバンドを抜け
今現在のスポット的な不定期活動に通じる
泰行氏脱退の頃をダシャーで確認すると
「火星-木星-金星期」だったようだ
火星をラグナとするとラーシでは「弟・妹」を意味する3室支配の土星が6室で減衰しており
本来の3室を支配する木星は火星から見た11室(別離)に12室的な象意があるケートゥと住む
ナヴァムシャでも火星から見て5室(音楽)支配の木星が3室で減衰し
その3室支配の土星を減衰させる牡羊座に住む金星がプラティアンタルダシャーになって
実弟の泰行氏からの協力が途絶してしまう状況を指示する時運の配置が出来上がっている
しかし高樹氏自身のダシャーラグナは自室定座でヴァルゴッタマのかなり強い火星であり
蠍座的な根性の強さで創作活動はまだまだ継続したのである
その後に迎えたばかりの現行ダシャーのラーフ期においては
今年の1月にセカンドアンタルダシャーの「ラーフ-木星期」に入って一年を経ようとしている
上記のラーシとナヴァムシャを対比しても十分に良い位置関係が出来ており
ラーシでは木星がラーフのディスポジターとなってラーフに対向し
ナヴァムシャではラーフのディスポジターの太陽が「芸能・メディア」の3室在住で
木星自体は減衰しながらも10室でラージャ・ヨーガになっている
ナヴァムシャの木星が12室を支配してインターネットの象意が10室で発現するためか
私が氏を偶然に知ったyoutubeにおいてなかなかの高頻度で新曲をリリースしている
50歳を過ぎてこんな意欲ある異化的創造を試みたのも
ラーシ・チャート上で成立するグル・チャンダラ・ヨーガの影響かも知れない
ダシャムシャでもラーフは「インターネット」の12室に住んで木星がディスポジターとなる
つまりラーフと木星の位置関係が多少は悪かったとしても運気の勢いで補える時である
(むしろ木星は本来のラグナから見ると3室支配で音楽の5室に住んで万端な配置と言える)
2023年の6月5日まで続く現在の「ラーフー木星期」は引き続き氏への注目が不可欠となる
以上
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