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執筆者の写真鹿村文助

危険なカルトのリーダーになっていくチャート

更新日:2022年3月27日







私が過去に占断の訓練対象とした依頼者の方の中に

ご本人の実子の進路相談も兼ねた助言を所望されたことがあった



ご依頼者様はその息子さんが高校卒業後に浪人し本人が明確な意思を持てないでいるため

困った末にジョーティッシュ的な資質判断を希望していらしたという経緯だった



基礎的な運勢傾向と良い可能性や悪い可能性を全て見繕うべき内容であり

まだまだ恐る恐るチャート読解をするしかなかった自分は尻込みせずこれに挑んだ



母親であるご依頼者様の実子本人への認知とは裏腹に

ご実子当人はチャートを伺うほどに相当に因縁ある奇特な逸材である様相が見えてきた







やはりラグナがサルパ・ドレッカナにあり

ヴァルゴッタマのラーフは蟹座のとても若い度数で高揚同等の猛威を帯びている



そのラーフがナヴァムシャでは8室にズレ込み減衰の火星とコンジャンクションしている

この配置がとても背徳感のある淫靡さとなって働く所見で月も対向した危険な配置である



特にその月というのがしたたかであり

本来は組織力に優れたチームワークの才能を意味する4室水瓶座という良い配置であるのに

新月へ近づく衰微の月でその月から4室目がとても強い惑星集中になることで

4室牡牛座で定座した金星とアスペクトバックの火星が共依存な中毒傾向を作り出している



この牡牛座の惑星集中には因果律と言うべき配置の妙があり

即ち火星は本来のラグナロードであり太陽は月から見た7室の支配星である



その二つがラグナから見た7室で月から4室目の牡牛座となる位置関係は

必ず本人が行く先々で不思議な異性と出会ってしまい

しかもその相手から誘惑され次第にその感情に呑まれていく宿命を指す



しかし月から見た金星はラージャ・ヨーガ・カーラカであり

コンジャンクションした火星は3室10室支配で太陽は7室支配のため

何か社会的に意味や価値のある有志活動のような含意をもたらしている



それは「組織」の4室であるため

ボランティアグループであるかまたは単純に音楽活動を展開するバンドだとか

かつて私が親しんだ演劇創作のサークルというイメージにもなる



もし本人の月が強い月齢でケンドラの位置に惑星が点在していればその通りになったが

実際は欠けて行く弱い月でその4室目以外のケンドラには星が住まない配置であり

それがまさに強く本人を苦しめる肉感的魅惑の底なし沼のように働きうる




決定打として金星はまたしてもグナティ・カーラカである




前回に扱った私の友人のナヴァムシャとよく似た配置が起きており

7室の両隣が木星と水星に挟まれてシューバ・カルタリになってしまい

周囲が羨んでひがむほどの奇妙な巡り合わせの良さを何度も経験することになる



月齢が弱く受け身な大人しい性格を生まれ持つ一方で

ラグナロード自体は真逆の傾向となった6室支配で7室在住の火星である



このラグナロードはおそらく8室に住む火星とほとんど同じように働いてしまう

気が弱く優しい性格を気取られて押しの強い牡牛座的女性が無遠慮に踏み込んで来て

すっかり “ 堕とされてしまう ” という配置である



弱く孤独な月は9室支配で4室に住んだラージャ・ヨーガの良い月であり

本来は誠実で雑念のない善意から人と関わろうとする心の広い性格だったろうに

その決心を次第に濁らせていくあざとい美貌の女性が現れて餌食になってしまう



特にその傾向は6室牡羊座の特徴が後押ししているようで

土星は減衰しコンジャンクションした木星は機能的にも吉星である

それが6室という戦いや忍耐の経験を意味したハウスのため

何かと安請け合いしがちで自らへりくだって見せる腰の低い態度を意味している



しかもその牡羊座は月から見た3室目(≒低次な肉体的欲求のハウス)になる



土星が6室に住んで定座以上だったり逆に減衰したりすると

常に意気高い闘志が漲っている努力家の性格を作るはずだが

木星がコンジャンクションしてしまって土星の良い潜在力を逆に滅してしまう




ズルくいやらしい相手に簡単に利用されてしまう配置である




月は9室の支配星でラージャ・ヨーガとなり

ラーフはその9室に住んでヴァルゴッタマで強く

牡牛座は月から4室目でラグナからは7室目に当たる



その牡牛座の惑星集中に参加した火星は

ラグナロードとして本来のラグナから7室目に在り

月から見ても3室10室支配で「グループワーク」の4室に住んでいる



察するに何かよろしくない不純な動機で集まった「裏サークル」のようなチームに属し

母親には口が裂けても言えないような人間関係が展開されていそうである

おそらく表向きでは若い学生らで組織したボランティア団体だったりするが

実際は大人達が触れられない濃密な秘密の花園として淫らな悪縁を生んでいるようだ






8室双子座で定座した強い水星も

月から見てまた8室を支配して本来のラグナからは機能的凶星の影響を持つことになる

そこへ減衰した機能的凶星の土星がアスペクトしてしまったり

手前7室の牡牛座に住んだ火星・太陽と9室蟹座に住むラーフがパーパ・カルタリを作り

確実に悪意の源泉のように働いて妄執を生む水星である



その水星にアスペクトしてくる土星を再度注視すると

生来の深い自我であるアートマ・カーラカであり

減衰したままアマティア・カーラカの木星とコンジャンクションするので

やはり押しが弱く人が良過ぎる性格なのである



土星は月のディスポジターであっても

本来のラグナから見て3室4室支配の機能的凶星で月をラグナにすると12室も支配し

減衰することで結局は良い影響を持たないまま茫然自失のような「自分不全」を作り出す



原初の相談依頼を振り返ると

やはり「息子は進路希望の意志が曖昧でハッキリしません」といった趣旨であり

月の弱さやそのディスポジターの土星が減衰したアートマ・カーラカである証拠となる



その土星は月とラグナに向かってジャイミニ・アスペクトも起こし悪影響を与えている



彼は何かしら世のためになる良い施しをしてみたいのだが

人間関係がすこぶる苦手で

不器用ながらも容姿や性格の良さが異性の目に留まり

最後まで遊ばれてしまいつつも本人はその関係を善意の方向へ持っていきたいのだろう



私はそのご依頼者の実母様からの占断結果に対する受け答えを拝見し危惧を感じた

「息子はとても大人しく友達付き合いなどほとんどしていない様子です」と仰るのだ




こんな邪推はしたくないがきっと息子さんは母親を欺いている可能性が高い




何故なら実母様が提示した出生時刻に従ったラーシ・チャートは

ラグナの蠍座が18度と星座の半ば頃に在り

それが蠍座のかなり若い度数か逆に射手座直前くらいなら

産院での出生記録が看護士の主観的判断で誤っていたと言えるが

その余地はほぼ無いようなステータスだからだ




ラーフはラーシでは9室に住むがナヴァムシャで8室に住んで火星に汚された邪悪な所見だ





ラーシの4室は母親のラグナに置き換えて占断し直せるが

その場合に母本人を指す土星が3室で減衰し木星とコンジャンクションしている

息子さんの人の良過ぎる性格は母親譲りのようで

実母様ご本人も性善説的な優し過ぎる人柄が災いしているのかも知れない



老婆心ながら憂慮させられるのは息子さんの現在のダシャーである


「木星-金星-木星期」に当たり

ナヴァムシャで形成される二つのマハープルシャという猛烈な潜在力の配置が

良くも悪くも異様にドラマチックな人間関係を醸し出している様子だ



ナヴァムシャはアマティア・カーラカの木星がラグナロードで定座し

金星は最悪な機能的凶星でありながら「自己犠牲・慈善」の魚座で高揚している

その二つがまさに本人の心身に与えられる実際的運勢となって励起されてしまう



山羊座でヴァルゴッタマのケートゥにはラーシで減衰した土星がアスペクトバックし

ナヴァムシャでは8室支配の月がコンジャンクションしアスペクトバックする



土星が悪い意味で本人に抑圧を与えたり8室的な不可避の災難で酷く苦しめられている



それでもナヴァムシャで起きたとても強い木星と金星のマハープルシャが

否が応でも本人に何かカルマ的な行動決起をしっかりと強いてくる頃合いでもある



特にナヴァムシャのラグナにはラーシで減衰したアートマ・カーラカの土星も住んでおり

射手座ラグナではまた機能的凶星になってしまうため

間違った目的意識から強迫観念的に人と関わっていくことになる所見だ



D10は木星がラグナに住みまさにその配置全体が現実化する時である




ダシャムシャはより一層に確信犯的な主体性と行動力を与えており

10室支配の金星が再び魚座で高揚しラーフとコンジャンクションしている

水星もヴァルゴッタマで強くなり9室的な自身の信条をエゴ(6室)のように掲げる様子だ



ラグナではラーシと正反対なコンディションとなり

土星はマハープルシャとなって2室も支配し

コンジャンクションする木星は機能的凶星になって減衰し

パラーシャラの例外則のようにも働く



その配置は月から見た9室目になるため

奇異で面妖な風貌を装って前衛的な営為を守り育んでいる様を思わせる

なおも本来のラグナから見て8室支配の太陽は「組織」の4室で高揚し

それは月から見てもまた4室を支配して「地下活動」の12室で高揚することになる配置だ

(そして火星は獅子座に住むことで太陽と星座交換し4室12室や4室8室の絡みを起こす)


3室魚座の配置と併せて明らかに常軌を逸したグルか何かに変貌を遂げる未来が見える





異性間の愛欲の交差を精神的にも最上の極致と見なす密教のタントラ思想のようである





まだまだ絶えないこのコロナ禍において

居場所をなくした心の迷子を袋小路に鎮座して待ち受ける邪教の徒にならぬよう

配慮せずにはいられない人生を彼は確実に積み重ねてしまっている



彼のラーシ12室の天秤座にはあと1ヶ月程度ダブル・トランジットが起こり続ける


即ちその不穏な行いはおそらくあと30日強で一旦は終わろうとするのかも知れないし

その後に巡り来る2週間は5室魚座と9室蟹座で生じるダブル・トランジットであり

ひと時でしかないが彼は健全な理性を取り戻すようにも思われる



山羊座へリターンした土星のトランジットが描き出すそれぞれのカルマは

かように奇特であり立ち入ることが出来ない場合も多々ある



助けられる相手であれそうではない相手であれ

私は諦めずジョーティッシュし続けるのみである



以上

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