ラーフ期が来ない人達-それぞれのカルマ-その2

更新日:2021年12月26日


ダシャーに対するチャート上の配置の相性というのがやはり重要であることは

前回やその他の投稿でも触れてきたと思う



つまり凶星が吉星に関わらないままその凶星のマハーダシャーの来ない人生が

一応はかなり幸運な良いカルマを生まれ持った命と言える



より深いレベルの分割図で凶星が強くなる配置に対し

ラーシやナヴァムシャでパラーシャラの例外則のようになっている場合等が

注意深く研究すべき特殊事例になるのは間違いない



今回もタイトル通りのチャートの持ち主を紹介し

実際の運勢のほどを吟味してみたい






彼もまた木星期に出生していながら木星的な恩恵が半減してしまっているような人生である



ラーシの5室が明るく鮮烈な惑星集中を誇りダーナ・ヨーガとラージャ・ヨーガが両立する

その配置だけを一見すると「音楽でプロデビューを目指す人」といったイメージが膨らんだ

(事実この惑星集中はガージャ・ケーサリと金星とラーフの混成で音楽の素質を示す所見だ)



5室支配の水星も7室獅子座に住んで挑発的な癖の強さを帯びている



月をラグナとした場合には

ラグナロードの水星が3室目(仕草や動作)に住んでディスポジターの太陽が2室目(声)に在り

常に自分を個性的に見せようとする得意気なプライドを感じさせる

(この時3室支配の太陽はシューバ・カルタリ・ヨーガとなるため余計にその傾向が強い)



本来のラグナから見ると

5室双子座は2室9室を支配する吉星の木星・金星がコンジャンクションし

そこに6室支配の月とラーフが参加する眩しいほどの配置が実現しており

まるで気の合う仲間と徹夜して帰ってきた休日の早朝のような爽快感で溢れている

若く瑞々しい気合いが本人を相当にHighにさせている様子でありとてもラーフ的である



そう



彼もまたラーフ期を経験できないダシャーのタイミングに生まれていながら

人生の醍醐味と言える5室とその支配星が迸った強さに恵まれていてアンバランスなほどだ



しかしその自由と快楽を発散できない底深い理不尽が与えられているのも一目瞭然である





ラーシの4室ではラグナロードの土星が1室対4室のラージャ・ヨーガとなって強く働き

7室支配の太陽が6室に住む不本意な配置が5室を窒息させるように凶意の蓋で閉じ込める


のみならず

10室には3室も支配する火星が定座してディグバラのルチャカ・ヨーガを発揮し

5室へ愛憎のこもった蠍座からのアスペクトを与えている



極めつけはその火星が土星と対向し吉凶がせめぎ合う異様なラージャ・ヨーガとなる配置だ

ラグナロードと10室支配星の結びつきは最も避けるべき火星と土星の相克で経験させられる



即ち

ラグナロードの土星がケンドラの4室に住むことで開放感と緊張感が織り交ぜられてしまい

10室で粗削りな感情を全力で爆裂させたいが12室支配の土星がそれをひたすら半端にさせる



しかしそれはラージャ・ヨーガの絡み合いでもあるため凸凹した人間的な素地の現れとなり

不器用さが意地らしい個性となってありのままの彼を映し出していると言える




こんな「キレイゴト」を彼に面と向かって言おうものなら

私は胸ぐらを掴んで引き上げられ口も利けなくなるほどに殴り潰されるだろう




「お前に俺の何が分かるのか」──間違いなく彼はそう叫ぶはずだ

やり場のない思いが噴きこぼれそうになって堪えることに苦しんでいる生き様が浮かぶ



4室は本人の生家の有様であり母の姿そのものでもある

ニヒルで辛辣で自尊心第一な母の重苦しい立ち振る舞いに彼は閉口しきりだろうし

そうした母のやり口にむしろ従うことで初めて彼は自分を保てている様子である

(土星が彼自身を指すラグナロードで4室在住のためラージャ・ヨーガだからだ)

(なおかつ土星のディスポジターの金星は5室で更に重要なラージャ・ヨーガになる)



母親から見た息子としての自分を演じているのが嫌で

家の外(10室)では自由に粗削りに心を解放してみたいと思っているようだが

火星は女性の星座で定座するため抑制的で深呼吸を繰り返すかの如きメソッドである


この「理性と直情のせめぎ合い」を別離して見下ろしている客我こそが彼なのだ



だからこそ何が彼を【暴発】させるトリガーになりうるかに警戒すべきだと言える



占断を通じて対話してみると彼は双子座が強いせいかそこまで陰鬱な印象がなかった

しかしかなり深刻なのは月がラグナになった場合の火星と土星の絡みだったようだ



彼は未だ社会に出ていない年齢層だがつい数年前までの十代の時期に鬱病と闘ったそうだ



彼は木星期最初の頃に出生し17歳を過ぎた時には土星期のセカンドアンタルダシャーだった

ラグナロードが若年期の人生を描き出すこと自体はとてもドラマチックだが

彼には確実にその土星のカルマが手枷足枷となって泥臭い格闘と自壊を招いてしまう





牡牛座がラグナになることでダシャーロードは強烈なラージャ・ヨーガ・カーラカとなるが

対向の火星も負けず劣らずマハープルシャの凶星として土星のコンディションを侵害する



彼自身は9室10室の創意で行動し善行を積むかのようだが

彼を執拗に邪魔して否定したがる悪意満々な輩どもに挑発されている様子が示されている



12室(損失・消耗)を支配して7室で定座する火星が女性の星座で働くため

ネチネチと陰険で何かと巧みな卑怯さを隠している思春期特有の「ヒネた」悪党どもだろう

想像するだけで腸が煮えくり返り反吐が出そうでいちいちムカツく奴らという風味だ



わざわざ人をいじめることを生き甲斐にしている不良崩れと彼はやり合っていたようだ



その配置が月から見た6室対12室で引き起こされるのだから悲惨である

彼のダシャーラグナから2室目は本来のラグナから見た5室目のため「狙われやすい」のだ

個性的に楽しく自由に過ごしていることが気に入らないのか恥ずかしく見えて目障りらしい



月から見た8室(悪意)を支配する凶星(土星)が12室に住む配置は「隠された目論見」を意味し

同じく月から6室目で定座する火星は無差別で嫌らしい劣情に従う敵の存在を示している



それが彼の貴重な最初の青春時代だった

思わず握手して抱擁してやりたくなるような艱難辛苦の年月を彼は耐えていたのである

(何となくかつての私自身と重なってしまうのでその光景が映画のように想像できた)



今は「土星-ケートゥ-月期」の折り返しの手前を進んでいる

ケートゥは土星から見て8室目で本来のラグナからは11室であり月からは7室に当たる

「暖簾に腕押し」のような孤立感を手探りで過ごしていく時期であり

高校時代の頃とは違った忍耐が求められる自重運の時かも知れない





ナヴァムシャの土星はラグナから見て機能的にも凶星だが8室でシューバ・カルタリである

それは月から見て10室支配の3室在住となり

「着実に努力し有意義な行動を起こそうとする」チャレンジ精神の青年期になっていく



しかもナヴァムシャの全配置をよく注視して気がついたが

彼のナヴァムシャは全惑星がコンジャンクションせず連続してそれぞれの部屋に住んでいる



即ち私もそれまで拝見したことがなかったマリカ・ヨーガ(花輪のヨーガ)が成立している



金星がマハープルシャになったり太陽が慈善事業に類する魚座でラージャ・ヨーガだったり

ラグナロードの火星がラーシと同じ配置でまたラージャ・ヨーガになっていたりと

良い配置はとても強く旺盛な潜在運を誇っているが

それ以上に彼の相当に規格外な強さはそのマリカ・ヨーガに集約されていると言える



若年期が終わりかけた水星期の頃には並々ならぬ独特な前衛創作を生業とする未来が見える

(水星はラーシで7室に在りナヴァムシャでは9室に住むため外国に移民するのかも知れない)



3室で生じるグル・チャンダラ・ヨーガはアブノーマルな悪影響を全開にしてしまう一方で

3室で減衰する木星でもありアンタル・ダシャーが木星期になると稀有な運気が顕現しうる

(3室で惑星が減衰するのは「パラーシャラの例外則」に当たる)



なおかつそれは月から見た10室目であるため脱構築的な異次元の才能が出来してくるようだ






分割図上ではあまり重要ではないとするD20において彼の思想的な奇特さがよく現れており

水星は本来のラグナから4室で定座し月からは9室目で定座している



ラグナの魚座にラーフが住んで3室対9室(月から見て2室対8室)で火星金星が星座交換し

超自我を目指して神秘と陶酔の中へと没入していく密教的な融和感覚が見て取れる



要するに彼は段々と良い意味で現実を飛び越えて行ってしまうような大人となるはずである

やはりラーシ・チャートの5室の意味するところが分割図で補完できている





我田引水で差し出がましいが対比のために私のD20を挙げておく



ショダヴァルガでは1点未満の分割図だが私は個人的に「影響力が大いにある」と考えている

私の場合はラグナがヴァルゴッタマとなるためであり

今現在の木星期は10室の象意で示されてしかもその星座はナヴァムシャのラグナである



作為的でこそあっても私がジョーティッシュを実践し伝えようとするのは

このD20で有意な配置が起こっているからでもある

(私の書き癖がネガティブなのもD20で月と土星が6室対11室の星座交換を起こすからだろう)




さて




こうしてチャートとダシャーとその本人の実体験を照合し運気の質を抽出していくと

やはり「ラーフ期が来ないからその人は徳が高い」というのは明らかに間違いであると分かる



おそらくはその逆もまた然りであり

中年になった頃に火星期やラーフ期に突入する人生であっても

本投稿の彼のように力強い配置やヨーガに恵まれていれば清濁併せ吞む克己心の人となり

ダイナミックな成長を魂に描き込むことになりうると考えられる



やはりジョーティッシュはそれ自体が終わりのない宇宙のようで学ぶほど掴めなくなる

自らの立ち位置を見失わない建設的学習が最重要である



                                      以上

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