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執筆者の写真鹿村文助

ラーシの4室とD16で診る「乗り物運」と実際の運転能力

更新日:7月18日




かつて私は車の運転が率直に言ってヘタクソだった



だからか社会人になってから今でもこの画像の軽自動車に乗り続けている



自社の事務所は片田舎の街外れにあって道が狭くすれ違うのが難しい箇所がある

なのに事務所から1Kmも離れないところがもう国道だったりする

だから朝や夕方はよく余所様と「お見合い」しなければならなかった

最初の頃はそれが本当に嫌で嫌で出勤したくなかったほどだ



20代の半ば頃に私は留年した大学を紙一重で卒業したが

それ以前から鬱病をこじらせて卒業後は引きこもりをやっていた



遊び半分に学費と時間を棒に振った後に都合よく鬱病となった私を母が許す訳はなかった

自腹を切らせられて地元の自動車教習所へ入所させられショック療法が始まった



ダシャーはラーフ期がやっと折り返しに近づいてきたあたりで

8室のラーフとその支配星の火星が私に濃厚なカルマを浴びせているかのようだった

薄情で短気そうな指導員にいびられたり不器用さをからかわれていると感じる場面もあった



ひねくれているが何かと器用で賢い姉が30時間ほどで卒業したのに比べ

私は気分障害も手伝っていつも以上に身体が正しく動かせず

冗談抜きで姉の倍は実習時間をかけて受講代もどうにか払いやっとのことで免許をとった

(今にしてみれば精神科に通院し抗うつ剤を毎日飲んでいながらよくここまでやれたものだ)





時運的には「ラーフ-土星期」の終盤頃である

土星は3室に住んで両隣を火星とケートゥに挟まれる救いようのない不幸な配置が成立し

それはラーフから見て8室目で二重の「試練」の象意が私を万力の如く押し潰さんとしていた



土星は逆行して内向的に働くため成長力が希薄で鈍いままとにかく上達がない日々で

星位も強い敵対属性の蠍座という呪いのような配置であり

きっとそれは若年期に私が清算すべき諸々のカルマの一つだったのだと思う



しかし唯一の救いはそれが「努力・訓練」を意味する3室だったことだ



インド占星術の基礎的な定義で「凶意の部屋には凶星が住むと逆に良い結果となる」原則を

まさに私は体現できたのである



その時期のダシャーだったラーフと土星の絡みは面白い因果でもあり

どちらもディポジターは火星で私のアートマ・カーラカだった





そしてその火星が住むのは「乗り物」の含意もある4室だ

火星はアートマ・カーラカなのだからむしろ車を上手く操る技能が私の個性でさえあるのだ

今こうしてジョーティッシュの見地から振り返るとあの頃の経験はカルマ的な物語だった



4室在住の火星は8室(困難)を支配して逆行し私のラグナロードの水星や太陽を傷つけるが

泥臭い苦労を重ねてかつての私は火星の象意を一応のところ克服できたと言える

大げさに言えばそれは過去生が突きつけてきた宿命を打ち破った真我の顕現のようだった

(火星は「習慣」の3室も支配してラグナロードと向かい合い結果的に私の能力の一部となった)



土星も逆行して2室で高揚するように働くことを考えるとこれは単なる偶然ではない

あの時の恥と苦痛の中での努力は成長に踏み込む臨界点に達した時に突如「正しく」影響した

車の運転技能を会得していく経験は4室の火星で示されつつ5室的な自己実現が発露していた



5室は3室から3室目となる努力の本質を映す部屋であり

4室に住むヴァルゴッタマで高揚状態の火星は即ち高揚同然に働く土星のディスポジターだ



運転技能習得で私は限界突破(成長)を体験できたがそれは私がD16に恵まれているからだ





土星は4室5室支配で5室で定座してラージャ・ヨーガにもなるが

ラグナから機能的凶星の木星がアスペクトすることでそれが「単純な経験」ではなくなるのは

ラグナロード(金星)が10室支配の月と星座交換し現実的に苦労する配置でも示されている



少し飛躍するような論点だがD16の実際的評価は4室のアルーダ・パダからも見積もれる



私の4室のパダは6室魚座でありそこには仕組まれたかのようにアートマ・カーラカが在る

即ち私は今生で戦う(6室)ようにして車の運転を積み重ねていくといった経験が続くようだ



しかしそれは凶意の部屋に住む凶星であるためにだんだんと心身に馴染む習慣になっていく

確かに昔は自社の各工場拠点までの道のりを最初の仕事として憶えさせられたものだった

遠い工場や営業所となると自社本部から80km程度は離れており尋常ではない訓練だった



マハーダシャーは今まさに木星期でありD16の影響が長い時間の中で体感されるはずである

一度でも困難を克服しているとその配置の凶意もあまり不安には思わない



数年前に何度か高速を走って他県まで一人旅をしたように

コロナ終焉後の自動車生活が少しずつ楽しくなってくれることをボンヤリと期待している



                                       以上 

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