以前に投稿した英国の伝説的バンドJoyDivisionのヴォーカル・イアン・カーティスに続き
彼の盟友で彼に代わるフロントマンとなったバーナード・サムナー氏を検証してみたい
前回のおさらいから始めると
イギリスのバンドJoyDivisionは1977年にバーナードとその友人ピーター・フックが創始し
そこへあのイアンとドラマーのスティーブン・モリスが合流し正規チームとなった
(左からスティーブン , ピーター , イアン ,そして今回の主役バーナード )
バンドのオリジンであるバーナードとピーターは
当時英国で目覚ましい新興ロックのパンクロックでブレイクしたSexPistolsのライブを観て
激しく触発されて音楽活動を立志し77年にバンド「ワルシャワ (Warsaw)」を名乗る
しかし他に似通った名前のバンド名があったことから後にJoyDivisionへと改名する
当時は
ニューウェイヴなるディスコミュージックや電子音楽が入り混じる実験的サウンドが旺盛で
その潮流において庶民派な粗削り風のパンクロックがロンドンで人気を獲得し始め
その担い手の一角だったセックス・ピストルズを
バンド・Buzzcocks(バズコックス)の創始者となるピート・シェリーらが地元街へ招き
未だパンクのサウンドが根を下ろしていなかった地域で初ライブを敢行したのである
それがJoyDivisionのオリジン2名と同郷のマンチェスターだったことから全てが始まった
そして同じくマンチェスター出身で音楽プロモーターのトニー・ウィルソンの支援から
彼が演出構成を部分的に手掛ける番組に出演し名実ともにメジャーバンドとなる
英国でキー局だったテレビ局グラナダTVでレポーターや司会者でもあったトニーの厚遇で
バンド結成からやっと1年程度だったJoyDivisionがイギリス中に知られる切っ掛けとなった
そしてトニーが創業したファクトリーレコードから正式にスカウトされ
マンチェスターの音楽シーンを彩るプレイヤーの一員となる
その後たった2年程で彼らはスターダムに登り詰め
手作りの実験的な楽曲を生み出した後に
イアンの不倫スキャンダルを自ら歌った新曲を残し
イアンはその23年という余りに短い生涯を閉じてしまった
「Love will tear us apart」─(愛が僕たちを引き裂く)
陰鬱な叙情や激情を徒然に奏でるそれまでの彼らの趣向と違い
クラブ風に洗練されたハイブローなセンスを集約した一曲となった
静かな白昼夢のような虚無感が耳に優しい
皮肉にもこの最後のナンバーが彼らの最高のセールスを記録し
後世のバンドにもカバーされるほどの優れた軌跡になったのである
1980年にイアンの自死により残された3名は
予定されていたアメリカツアーをどうにかアドリブで乗り切ったというからすごい
その後にバンドの活動存続を悩んだバーナードとピーターだが
協議を重ねた結果イアンの遺言に従いバンド名を「ニュー・オーダー」へと改める
1982年前後にはそれまでのサウンドとは一線を画したエレクトロなスタイルが顕著になり
1983年5月には2ndアルバム「権力の美学」と共に伝説的名盤「BlueMonday」をリリースした
イアンが自死を遂げたことの知らせを受けたのが月曜日(1980年5月19日)だったことから
その記憶を綴ったこのナンバー
BlueMondayは当時の英国チャートでも9位にランクインする上々なスコアとなった
シンセサイザーに霧が掛かったかのような微細なリバーブを与えた幻想的な風味が快い
これこそNewOrderの真骨頂たるランドマークな一曲と言える
ディスコポップやテクノやオルタナティブロックなどを分解し融合させ生まれた不朽の個性
イギリスの音楽シーンに少なからず影響を与えたバーナード氏のチャートは以下の通りだ
やはり「音楽・芸能」の3室に生来的吉星の水星金星が住んで独創性が与えられ
機能的にも吉星の木星は3室の本質たる5室を支配してラージャ・ヨーガとなる
その木星が9室蟹座へ逆行し高揚するようにして3室山羊座と対向する潜在力を持つ
精神性(9室)とその表現(3室)の軸で
5室と7室や11室が生来的吉星のみの絡みになる強烈な配置が
間違いなくバーナードやその仲間達の群を抜いた個性や才能を示しているとも読める
山羊座の配置は月から見るとなお強力で
月のラグナロードの水星が1室10室対5室で二重のラージャ・ヨーガになり
金星は5室の本質を担う9室支配で5室に住んで2室も支配し声や音楽の象意が重複する
その水星と金星は1室対2室のダーナ・ヨーガや1室10室対9室のラージャ・ヨーガさえ備える
職業運のD10も5室(音楽)支配の木星が3室10室支配の金星(≒音楽)と星座交換している
筆舌できないほどに素晴らしい吉意のカルマを与えられ
天職としてミュージシャンになる運命を約束されたかのようだ
いつか必ず世に出て劇的な成功を治めることを予兆として示したチャートだと言える
しかしこのコンディションと対になるような重い影の運気も孕んでいて杞憂を思わせる
太陽と木星が星座交換し2室対5室や5室対10室の吉意のヨーガをまたも組んでいるが
それは月から見た4室対12室の星座交換であり
ラグナに出来た二大凶星とラーフの悪影響も手伝って彼は生来の鬱病気質の持ち主である
ラーフとケートゥはラグナ対7室の軸で減衰しラーフが根詰まり的な鬱屈を持病にさせる
(逆行の木星が9室から高揚してラグナに仮想アスペクトするので正気を保てているようだ)
ナクシャトラを確かめると
月が「ハスタ」で定座したり土星もラグナで「アヌラーダ」に収まり
静かで大人しい性格を生まれ持ったらしく
逆行の木星がラグナへアスペクトするようにも働くことで
凶星的な乱暴さや我が儘さが吉意でしっかり薄められている
(太陽と木星の星座交換で性格が尊大気味になるスーリヤ・グル・ヨーガも出来ているが
月から見て自信が失われる4室12室の絡みなので「内向的なプライド」ということだろうか)
ただし一方で
( バーナード・サムナー )
憂鬱質で、抗うつ剤を使用していた期間も長い。
とか
作詞家、作曲家としての評価は高い一方、ヴォーカリストとしての技量はたびたび議論になる。初期は自分の作った曲なのにライブで音程が全くとれていないことも珍しくなかった。
などと紹介されているのも
ラグナでルチャカ・ヨーガとなったラグナロードを機能的にも凶星の土星が傷つけたり
その土星が山羊座へアスペクトバックしてしまうことで演奏力(3室)が損なわれることを示す
またルチャカ・ヨーガの火星が6室も支配して4室を傷つけるので「あがり症」なのである
彼の歌唱や演奏力が如何程に “ ペーソス ” であるかは動画を観れば言わずもがなだろう
とても爽やかでサウンドに近未来的な新しさが漂う「PerfectKiss」
公式PVなので演奏自体は当然問題ないのだが
お坊ちゃんな風貌のバーナード氏が本当に【頑張って】歌唱を披露しており味わい深い
永年のNewOrdrファンからするとこうした親しみやすさが氏の持ち味でもあるそうで
テレビ出演で披露した演奏の中にはしっかりと語り草になるほど絶不調なプレイもあった
(勇気のある有志諸君は是非ご覧下さい・・・そんなに酷くないと個人的には思いますがw)
そんな曖昧Meなバーナード氏が率いるNewOrderも
氏が「ラーフ-金星期」の終盤を迎えた頃に
彼らを真の歴史的ポップスターにさせた珠玉の名盤「Bizarre love triangle」をリリースした
今なお聞く度に脳裏でドラマが生まれては過ぎていく克明な走馬灯が宿った一曲
私が生まれて間もない頃にこれほど神妙な機微を深くから描いたカルマティックな業績は
やはり大きな未経験の達成が余すところなく叶いうる「ラーフ-金星期」の賜物だろう
人 生 最 初 の 結 婚 と 離 婚
ラグナ特定に役立ったのはやはり氏のバイオグラフィーで重要な結婚離婚の履歴である
1978年11月に最初の結婚をしたものの、1989年に離婚している。
とある
1978年11月時点のダシャーは「ラーフ-土星-金星期」である
ラーシではラグナ(7室から7室目でその結果)にラーフとアンタルダシャーの土星が揃い
恋愛と結婚の伏運を示すナヴァムシャではまさに7室支配の土星がラーフと対向する
ナヴァムシャではプラティアンタルの金星が土星と絡まないが
ラーシは土星がラグナから金星にアスペクトし
土星は金星のディスポジターのため有意な絡みを作っている
そもそもダブル・トランジットが起こる時局ではなかったようだが
トランジットの火星は氏のラグナにリターンしそこへトランジットの木星がアスペクトする
また結婚の表示体である金星も自室へトランジットしつつ氏の月に向かって逆行しており
氏の月から見て「結婚生活」の2室を支配して二重に結婚の象意を月へと働きかけている
また10室で5室の象意を強く帯びた木星にトランジットの土星が運気の現実化を促している
木星が5室支配のため結婚というよりは恋愛感情が実る頃合いだったと読める
基本的にジョーティッシュの時運判断の順序では「ダシャー >トランジット」とされるので
ラーシとナヴァムシャの両方がラグナや7室を励起したダシャーで成婚となったようだ
続いて氏が離婚した時運についてである
「ラーフ-月期」はラーフやディスポジターの火星から見てもラグナと11室の相関で
月は9室支配で機能的にも吉星のため離婚を説明できる時運にならないが
ラーシにおけるラーフ期最終盤の「ラーフ-火星期」に入る1989年5月下旬頃であれば
ラーフのディスポジターの火星が「離婚」の6室(7室から12室目)を支配して定座のため
結婚相手ではなくバーナード氏本人の意向として離婚に踏み切ったと判断できる
結婚運を診るナヴァムシャで火星は「別離」の12室で減衰し7室にアスペクトしてしまう
だから氏は1989年の6月以降に離婚したのであろう
(また備考として氏は4人もの子供の父親でもあり
ラーシで逆行する木星が「子供」の5室から5室目の9室で高揚するようにも働き
その木星がマハープルシャのラグナロードへ仮想アスペクトする配置であると考えれば
氏が蠍座ラグナであることの確証となる)
30年来の友人だったピーター ・ フック氏との対立
またあまり芳しくないエピソードだが
氏は2012年2月にそれまで一旦活動休止だったNewOrderを再結成するに際し
生来の親友だったピーター・フック氏と激しく敵対する結果となり
以降ピーター氏は新たに自身のバンドを組み絶縁状態となってしまった
(なおピーター氏は2007年に自らニュー・オーダーを脱退しているそうである)
ナヴァムシャではその一連の事実がほぼ説明できる配置となっている
本来のラグナから見て7室在住の水星は2室11室支配で「友人」(11室)の象意を持つ
対向のラグナに住んだ土星は6室7室支配で機能的にも凶星であり
コンジャンクションしたケートゥには12室的影響力と「裏切り」という象意がある
まさに2012年2月に
氏はニュー・オーダーを再結成しそれを知ったピーター氏の怒りを買うのである
ラーシでは土星はラグナに住んだ機能的凶星で
8室の表示体としての土星の影響が多く出る頃になる
しかし土星のディスポジターの火星は
蠍座でそのままコンジャンクションし
マハープルシャとなって6室の象意を土星に与えて
土星に打ち勝つように働き
7室とそこに住むケートゥには火星土星の劣悪な二重の凶意がぶつけられる
ケートゥのディスポジターの金星は
土星とケンドラの位置関係にない3室在住だが
金星のディスポジターはその土星である(また土星は金星にアスペクトバックする)
つまり結果的にはバーナード氏にとっての敵(7室のケートゥ)は
段々と不利になっていくような推移をたどり
自然に消え去ってしまう末路を迎えることになったようだ
ナヴァムシャではケートゥがラグナに住むので
ピーター氏が裏切られた側かのように見えて
実際はピーター氏の方が独りでにリアクションし世論がそれを見守る状況下で
上手く立ち回ることが出来ず孤立する結果となったのである
ピーター氏その人についてもまた後々にラグナ検証を試みようと思うが
彼も決して射手座的な自分本位のロッカーなどではなく
結婚したコメディアンの女優から私生活で逆DVを受けたり
その反動からかアルコール依存症や薬物依存のようにもなったりと
壮絶な苦労人の人生を歩んだハードラックダディなのである
どちらかが一方的に悪いとは言えないほどに
JoyDivisionは因果な繋がりで生まれた縁だったようだ
両氏が互いに対話の叶う内に和解へ向かうことを望むばかりである
年内にダシャーチッドラを迎える土星期と
その後の水星期の行方
まだまだ先の話であるが
今年の年末にバーナード氏は木星期の終盤に差し掛かる
つまりあと10ヶ月ほどで氏は水星期のような運勢へと人生が変転し始めるのである
水星がラグナになると
ラーシでは3室支配の木星が8室で7室(10室の本質)に住むようにも働き
ナヴァムシャでも2室11室を支配して
「音楽」の5室から11室へアスペクトバックを起こす
水星そのものもラーシでは9室の支配星となりナヴァムシャでも5室の支配星となる
音楽に関係する3室と5室に大吉星の木星が絡んで強く働くので
ほぼ70歳となった頃に在っても氏は音楽活動を断続的に続けていくようである
木星はそれ自体が「年長者」(≒グル)の表示体であるため
その分野における論説者として評価する側の立場で文化を牽引していくのかも知れない
水星のナクシャトラは太陽が支配星の「ウッタラ・アシャーダー」であり
太陽のポジティブな側面である快活さや
選り好みをしない真面目さが性格に出てきやすい
おそらくは
全世界が水瓶座に向かう近未来的理想をゆっくりと築いていく歩みの中で
電子サウンドによる新世代的音楽( ≒水瓶座 )をいち早く取り入れていたことが
バーナード氏とその仲間たちに対し
長い年月で実っていった「正しい評価」を報恩のようにして与えてくるとも思える
ウッタラ・アシャーダーの支配星の太陽は
氏のラーシでは5室対10室の星座交換で2室に住んでとても強く
それは月から見た4室であるため
一分野を代表する王座(4室)を担う権威者となり
縦横に自由な言葉を発信していく未来が想像できる
彼もまたイギリスの先代アーティスト諸氏に並ぶ栄達者の一人となるようである
JoyDivisionとNewOrderが正しい物語として平和に歴史を遂げることを切に願う
以上
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