
9月に入り私は本格的に独り暮らしのために道具類や必需品の運び出しを始めた
1日が週末の金曜日だったこともあって
仕事帰りからそのまま夕飯もそっちのけで私は車で実家と新居を往復した

楽しいというよりは「まず何が必要か」を頭の中で終始考え続けていた
本当にやりたいことが叶いつつあると人は疲れなど全く感じないらしく
私は私用PCや作業机や布団などを複数回に分けて運び出していた
(途中で自宅から数km先にあるホームセンターに段ボールを買いに行ったが
結局は役に立たなかった)
新居は生家から2㎞も離れていないので
服などはそのまま実家に置いたままにして
仕事用の作業靴とプライベートの靴を運び出す程度だった
何かを新居に運び入れると
それに関係する別のものが要ることに気が付いて
汗が噴き出るのも構わずにイソイソと作業を一人でリレーしていた
そんなことを繰り返していると夜が更けていき
母や姉も寝静まってとうとう日付が変わる頃に差し掛かるが
当の私は「明日は土曜日だから」とそれでも作業を辞めなかった

あっという間に時刻が朝4時半になってしまった
明らかにその時の私はナチュラルな過興奮の状態になっていて
登って来る朝日と爽やかな夜明けの涼気にやっと初めてアクビが出たくらいだった

当時の私はスークシュマ・ダシャーが水星期に入ったばかりのタイミングで
今となっては改めて納得できる時運である


最も即席の水星の時運は
木星と火星(ラーフのディスポジター)の両方が水星にアスペクトし
水星は4室と正反対の10室で定座してまさに「引越し」を意味し
対向する火星も「4室に住んだ3室8室の支配星」として全く同じ趣意を与え
6室からアスペクトする木星は4室7室支配でモロに引っ越しを指し示す表示体だ
特に木星は7室支配で6室に住む吉星のため無償労働をしたがる性分が働く配置で
それが今の私の時運として強く影響することがこうした状態をもたらしたようだ
水星も10室( 家の外 )でマハープルシャになるラグナロードとして即席の時運に当たり
そのため私は誰かから依頼され働いているかの如く一人で手あたり次第に荷運びをしていた


D4( チャトルシャムシャ )は
スークシュマの水星がラグナに住んでまさにカルマのスイッチが入った瞬間だった
ラグナの水星が4室7室( ≒引っ越し )を支配するからこそ
7室にアスペクトバックする水星が何かに取り憑かれたようにして作業する私を指し示す


ダシャムシャもほとんど同じ所見になっており
ラグナと7室の軸で木星とラーフと金星が一目瞭然に絡み
水星は4室を失う3室に住んで7室の金星とラーフからトリコーナの位置に住む
3室は「短距離の移動」という象意でまさにその時の私を説明していて
それも山羊座の水星であることが「執念深い努力と根性」をもたらしていたらしい

ゴールが見えなくても「今この時」にひたすら本気になっていた
本当に久々のランナーズハイを味わっていた私は
新居で初めての入浴を適度に済ませてからも
少しも眠くならなかった
実は9月1日は社内で重要な新規設備導入のための対法人面談があり
各工場の職責者が集って1時間以上は設備提供の法人の営業担当と話していた
そのために私は金曜日午後に必ず行う作業が出来ずに9月最初の土曜日が巡り
普段なら寝ている時間をそのまま地続きで迎えることになった
それなら眠らなければいい
ナチュラルハイが続いていたことで
私は極端な判断を下し
一睡もせずに車に乗り込み朝5時半過ぎに会社へ行った
自社の業種上とても朝が早い( 自社工場は日付が変わる手前から稼働する )ので
ベテランの正社員等は私が命じなくても土曜日だろうと平気で早出していて
私が出社した時にはすでに常務も出社して内職のような作業をしていた
役員になって10年以上になる常務は給与が全く変わらないのに本当に早出癖の人で
私がクシャクシャの笑顔であいさつすると「随分と早いっスね」と逆に驚いていた
私がデスクについて前日にやり残した作業を始めようとしていると
今度は元工場長の総務部長が出社してきて
「早ェっすね(笑)」と色めき立っていた


ナヴァムシャは木星のディスポジターがラーフのディスポジターと星座交換し
それが4室と12室の絡みであるため4室的な過ごし方が全く出来ないことになる
4室と12室の星座交換は
本来なら「家でボンヤリと自分勝手な時間を過ごす」はずだが
その絡みに高揚のラーフが関わるので私は異常なほど興奮し
我慢できずセカセカと会社に向かった
そして
それが後に拷問同然の責め苦を私に与えてきた

帰宅しても眠れないのである
せっかく新居で自分一人の時間を過ごせているのに
私自身は苛々悶々としてもどかしく何をしていいか分からないままだった
その時点で私は前日から28時間ほど経ており
前夜から早朝まで引っ越し作業をしていたのだから
本当は「精も根も尽き果てる」くらいだが
異常なテンションが神経をピリピリとパルスしている感覚があり
まるで20代の頃に経験した気分障害の躁状態( 鬱の逆 )が再現されたようだった
帰宅してちゃんと入浴し直したのに本当に眠れない私は
新居に運び入れた品々になお足りていないモノがあるのに気が付き
ここぞとばかりに徒歩で生家と新居を行脚することにした
後になってGoogleのアカウントで移動距離の履歴を確かめると
私は9月2日土曜日の一日で9km以上は間違いなく歩いていた

さすがに昨日( 9月2日 )は午前0時手前くらいに眠ることができた
本当に十数年前の鬱病の体験がうっすら思い出させられる一時だった


25歳からの3年強は私が今生で最も辛かったと言える時期で
ナヴァムシャでは水星が12室で星座交換して高揚のラーフと強く絡み
土星も5室で高揚して4室乙女座に逆行して4室とラグナをアスペクトで傷つける
アンタル水星期の後はケートゥ期でこれも神経衰弱のようなイメージだが
6室に逆行する火星は高揚のケートゥに鎮静化されて定座するので
火星がラグナの木星と対向する影響もあって以降はリハビリが上手く進んだ実感がある
スークシュマが水星期になっただけで何故こんなにメンタルに異変があったのかは
私にとって最深の分割図であるナディアムシャ( D150 )を見て合点が行った


水星は減衰してラーフ・ケートゥ軸に巻き込まれ土星がアスペクトするからだ
ナディアムシャは「とても正確な本人の特質」と称される分割図であり
ラグナが正しければほぼバイオリズムのように働くようである
今回は引っ越しという私事が関わったので一応ポジティブだったが
悪いダシャー( 即ち次のマハーダシャーの土星期 )は
死ぬほど心身がすり減って行く経験が待っていることを覚悟すべきだろう
またしても身を以てジョーティッシュの真正さの程が伺えた一件となった
以上
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