ラーシ・チャート上の4室が母親のラグナになり9室が父親のラグナになることは
私のブログを査読して下さっている諸氏には既知の見識のはずである
つまり4室か9室のどちらかが強すぎると
それは家庭内で両親の立場が対等ではなく「すれ違い気味」な関係である所見になる
今回は
「生まれつき性根が真っすぐだが両親のために悩まなければならない」チャートを紹介する
この青年はもしかするとご両親よりよほど人間性が高等かも知れず
精神的に賢過ぎて悟りに近い感情を秘めている方である
ラーシの4室で生じた惑星集中においてラグナロードが減衰し
逆にコンジャンクションした月は定座で木星に至っては高揚のヴァルゴッタマになる
ニーチャ・バンガとグル・マンガラとガージャ・ケーサリが同時に起きている
それは「裸のままのフィーリング」というべき蟹座で成立する配置であり
ラグナと4室と9室が絡んで猛烈に強い才気煥発の相となって働き
哲学や芸術や前衛創作に適した柔軟な才能の初々しさと可能性を豊潤に示している
(8室と12室が絡んでヴィーパリータにもなり深遠で複雑な知性といった印象だ)
対して3室では水星が定座して5室支配の太陽とスーリヤ・ブッダ・ヨーガを組み
日頃から単純な日課としての学習を欠かさない丹念な真面目さを現し
「生来の才能」を担う2室支配の金星は3室の結果である5室で良好なヨーガを帯びている
技芸の底深さを決定しうる太陽のヨーガやラージャ・ヨーガとダーナ・ヨーガが生じて
ラグナロードは4室でかなりファジーな揺れやすい高密度の爆発力を与えられている
それら3室4室5室のメラメラと猛った煌めきに対し
その息吹を抑え込んでしまうかのように働くのが2室8室軸である
「家族の様子・本人の生活ぶり」を指す2室では高揚のラーフを機能的凶星の土星が傷つける
2室から4室にアスペクトが起こり生家では空気が変に重く窮屈さで蓋をされているようだ
牡羊座ラグナで土星は10室11室支配で世間体とかお体裁のようなステータスを意味している
それがチャート本人の2室に住んでラーフと関わるので
即ち両親のどちらかが「下らないプライドで家族を不自由にさせている」といった所見である
冒頭で述べた4室と9室をラグナに改めるロジックで精査すれば一発である
父親本人の自負心や志向を指す2室3室支配の土星が6室でラーフとコンジャンクションする
ラーフのディスポジターは射手座ラグナで最悪の凶星となる6室11室支配の金星だが
その金星は9室に住むことでダーナ・ヨーガの吉意的保護を受けており
つまりその配置は「目的自体には善意があっても手段が間違っている」ような所見だと言える
彼の実父はどうも人生において自尊心で物事を決してしまう度量の拙さがある
しかし職業運自体は非常に順調で安定しており
7室でマハープルシャの水星に9室支配の太陽がラージャ・ヨーガのスーリヤ・ブッダを組み
相当に優れた技能職で盤石に生計を立てられる稀有な社会人生活に恵まれている
しかしそれは「表の顔」でしかなく
隠された本性が8室の蟹座でえげつないほど不穏な相を見せつけている
機能的吉星の火星が減衰しラグナロードの木星は高揚し月は自室定座になった強い8室だが
精神的な尊さを担う火星が全く働かず8室の不純な象意に木星が快く感応してしまう所見だ
そこへ6室から2室3室支配の土星がアスペクトしてくるために
よろしくない意味で “非凡な” 自己実現への渇望に動かされて生きる即物的な活気を持つ
そしてその8室蟹座は本来のチャート本人の4室であり即ち本人の母に当たる
蟹座がラグナになるとやはり減衰する火星は5室支配のラージャ・ヨーガ・カーラカである
対して非常に不安定で運気の幅が広く「ブレやすい」6室9室支配の木星が高揚している
そこにラグナロードの月(ありのままの心)が定座してしまうことで
「常に気分屋で落ち着かず個性的ながらも幼稚で社会性に乏しい」といった突飛な人柄を作る
(11室12室という個人的なハウスが強いのでもしかすると芸能人だったのかも知れない)
(2室獅子座に11室支配の金星が住むため容姿や声の印象が際立って優れる所見も大きい)
母親としてのこの女性の人物像自体は決して悪い訳ではなく
息子がいくつになっても自分の子供として可愛がり心血を注ぎたがる子煩悩の性格である
蟹座から見た4室支配の金星が2室に住むのだから家族的なつながりを守りたがるのだろう
今回の主役たるこのチャートは牡羊座ラグナだが
牡羊座は本人のラグナロード(火星)が母のラグナである4室から見ても5室の支配星になる
そのため牡羊座ラグナは蟹座と射手座の配置の良し悪しで家庭内の状況が見えてしまう
そしてこの彼はラグナロードが減衰する火星のため
両親から見ても賢く我慢強い自慢の息子だと言える性格に生まれた一方で
長い目で見れば「常に良い息子でいようとする」不自然な律儀さに耐えているといった様子だ
本人の8室ではそのハウスの象意を否定するケートゥが高揚しているだけでなく
対向から機能的凶星の土星がアスペクトし人間的な私情の捌け口を閉ざされてしまっている
本人そのものを指すラグナロードが減衰する4室蟹座には二重に父親を意味する木星も住み
木星が持つ12室の象意が高揚して火星の担う8室の象意は負けてしまっている
どうしたことかこのチャートの彼は今になっても父親にやり込められてしまうようだ
良くも悪くも若年期に経験しておくべき青春と言える出来心すら実らないのである
後半生の本人を示すナヴァムシャを見てみると──
ラグナロードが土星と吉意の絡みで星座交換しケートゥとコンジャンクションしている
ナヴァムシャでもまた父親の象意も含む9室が影響するため
彼は利己心など欠片も芽生えない潔白過ぎる善良さでこの生涯を終えていく人だと言える
何ともよく出来た御仁で敬服の念すら覚える
しかし問題は今現在のダシャーである
彼が直面している「水星-ラーフ期」は2023年の4月7日頃まで続いてしまう
ナヴァムシャでは水星がラーフと対向し
ラーフのディスポジターの太陽が水星から4室目で吉意の絡みを持っており悪くない
ラーシの方はどうかといえば・・・
ラグナとなった水星の真後ろで非常に悪い配置が出来上がり
高揚したラーフのディスポジターの金星も水星から3室目で大筋の時運が表面的には悪い
実は現在の彼は受験勉強に取り組んでいる最中である
この配置では言葉に出来ないほど雑念が心の内でざわめいて確実に本懐が遂げられなくなる
ノイローゼになる前に独りになれるシェルターのような勉強部屋を別宅に設けるべきである
(しかし土星は8室9室支配で12室に高揚のラーフとコンジャンクションし実に危険な様子だ)
おそらく彼はまるで反抗期がないまま成人していく性格だろうから
これを機に思い切って親離れしてしまうべきだと私は思った
この記事を書いている今はまさに共通一次も始まり受験シーズンに踏み込んだ折りである
彼に桜が咲いてくれるよう陰ながら応援している
以上
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