自社の社長に就任した6年前の今頃に知り合った中国人男性がなかなか立派な方だった
今では何の抵抗も覚えないが私が自社に勤め出した当時には
すでに社会現象といえる規模で外国人技能実習制度が普及する最中にあった
「まさか中国人やベトナム人をわざわざ雇い入れるなんて気が知れない」と正直に思っていた
私は自社の先代役員らと懇意な業務用省力機械の専門卸業者からその「まさか」を提案された
自社の代表に就任して数ヶ月目の頃で2回目の社会人デビューを果たしたような心境の私は
相手方の厚意だろうから無下にせず素直に受けておこうと一旦ゲスの勘繰りを打っちゃった
今ではそれは大いに正解だったと思える
気合いを入れて面談室で待っていると例の業者の老齢な会長様がわざわざご来社下さり
その実習生派遣法人の理事長を連れていらした
相手は中国から様々な業種に応じて技能実習生を斡旋する在日歴20年超の中国人である
第一印象としては「中国人というより東南アジアの方」と思うような肌の浅黒い男性だった
(後に自社の現場組からは年齢不詳な人だと言われていたが確かに実年齢より老けて見えた)
この方とその後3回くらいしつこく質疑応答のための面談を重ねて常務も無事納得したので
私はやっとの決意で自社工場に中国人実習生を派遣することとした
今になり当時のダシャーをD10で確認するとその関係が明示されていて面白い
当時「ラーフ-金星-太陽期」だったがD10の7室ではラーフと金星がコンジャンクションする
金星はマーラヴャ・ヨーガでラーフは高揚し自分の分割図の中でもこの上なく強い配置だ
7室12室支配の金星とラーフは両方とも「外国と外国人」の表示体である
7室は10室から10室目でその本質だがこの配置は自分の運勢と相手の格の高さを兼ねている
関われば関わるほど裏表のない実直さと気遣いの厚さに確かな責任感が見て取れた
間違いなく私が直に知り合った中国人では最も理想的な人物だった
その真面目さの奥の奥まで私は惹かれてしまい会う度に余計なお喋りを楽しんだものだった
とても優秀な方で21歳で留学生として東京の日本大学に初来日したそうだ
「日本語を勉強しながら日本で貿易商の法人を立上げてビジネスもしてましたね」とのこと
やはり黙っていると締まりの良い面持ちでやや厳しそうな分別顔をしている
当然ながら気になるのはご本人の正しい生年月日だ
以前に派遣対象者の現地選考のために出国した際に
中国本土の某空港内の税関そばで
不意に中国人専用の住民台帳カードのような身分証を見せられたが
記憶に間違いのない限り1971年生まれだったと思う
さすがに日付だけは失念してしまった
仕方がないので私のラーシ・チャートで代読してみる
獅子座ラグナという仮定はほとんど違和感がなく確かに理事長の個性を表意できている
まず3室10室という重要なハウスを支配する金星は本人にとっての外国である12室に住む
金星が敵対星位の蟹座だから本人の側がへり下って目上に仕えるような姿を描いている
語学の象意がある5室はラージャ・ヨーガ・カーラカの火星が住みラージャ・ヨーガである
そしてその星座もまた「とてつもなく遠い別天地」といった趣を持つ射手座なのが面白い
何より本人のしっかり澄んだ知的な佇まいの風味風格は11室の配置で歴然と結実できている
ラグナロードは「独立・自己実現」の11室在住でディスポジターの水星がそのまま定座する
外国を意味する9室にまた外国の表示体であるラーフが住んで支配星の火星は5室に在る
9室から9室目であり質実な理想とその熱意が理事長を日本の地へ運び醍醐味を与えたのだ
実に奥ゆかしく素晴らしい配置の妙が具現化している
特に感心するのは7室水瓶座に住んだ木星である
先進的な組織を表意する水瓶座に熟達者の表示体の木星が住む配置は学識者や経営者を示す
そしてその木星も5室を支配してラージャ・ヨーガの配置になって8室の経験も与えてくる
思うに「様々に異なる個性豊かな成功者たちとの出会いや交友」といった芳醇な光景だろうか
毎日がひたすら楽しいと感じている様子が如実に伝わってくる
2室には12室支配の月が住み吉星が12室を表意して「誠実なボランティア精神」とも読める
(または外国で自由なライフスタイルを実現していく将来像を現しているのかも知れない)
ただし唯一の傷つきは4室に住む6室7室支配の土星である
強い敵対の星位(蠍座)であるため私生活に重苦しいストレスを持ち込んでしまっている
理事長と久しく対話できていないが今あるコロナ禍以前は日曜日さえ惜しむ多忙ぶりで
休むのではなく実習生宿舎を構えた事務所でやり残した事務仕事に暇を費やしていたようだ
だのに本人が泰然自若で常に涼しげなのは「体力」の3室に住むケートゥが吉星化するからだ
(このケートゥには水瓶座から木星がアスペクトしている)
また
5室対11室の軸で火星と太陽がせめぎ合う配置に思い当たるのは本人の「躾の厳しさ」である
始めて私が中国現地で選抜した9名の中国人青年たちの中にはやはり「猫被り」が隠れていた
私が詰めている自社本部から最も遠方の工場で数ヶ月ごとに若干名が粗相を起こしていたが
現場とのパイプ役である常務がそれを聞きつけ理事長を呼び出して実習生と対面させると
私の方が飛び上がってしまいそうな怒髪天のガナリ声で当事者数名を20分近く叱り続けた
それはラグナロードと4室9室の絡みであり清純な叱正そのものと言える態度には感心する
5室に住む火星は4室に住む土星のディスポジターだからそれが理事長のストレス発散なのだ
仕事の疲れを仕事の別な場面で打ち消すとは不器用な私にとても真似できない芸当である
このように
ハウスの象意を把握できていれば自分のチャートを全くの別人に読み替えることも可能だ
数年間の独習で私も一応はジョーティシャーの端くれ程度になれた気がする
以上
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